2020年12月23日

Cannonball Adderley With Bill Evans『Know What I Mean?』

もう1つの「Waltz for Debby」☆Cannonball Adderley With Bill Evans『Know What I Mean?』

録音年:1961年
ez的ジャンル:ハード・バップ/クール・ジャズ
気分は... :静と動・・・

今回はジャズ・サックス奏者Cannonball Adderleyがジャズ・ピアニストBill Evansを迎えてレコーディングした1枚、『Know What I Mean?』(1961年)です。

Bill Evansについては、今月『Alone (Again)』(1975年)を紹介したばかりですが、本作はあくまでCannonball Adderley枠ということで。

大物ジャズ・アルトサックス奏者Julian "Cannonball" Adderley(1928-1975年)について、当ブログでこれまで紹介したのは以下の5枚。

 『Cannonball's Bossa Nova』(1962年)
 『Mercy, Mercy, Mercy!』(1966年)
 『Country Preacher』(1969年)
 『Inside Straight』(1973年)
 『Love, Sex, And The Zodiac』(1974年)

1958年のMiles Davisのセクステットで同僚であったAdderleyEvansによる再会セッションです。

レコーディング・メンバーは、Cannonball Adderley(as)、Bill Evans(p)、さらにはPercy Heath(b)、Connie Kay(ds)というThe Modern Jazz Quartet(MJQ)のリズム隊が加わったカルテット編成。

Riversideからリリース。
プロデュースはOrrin Keepnews

ハイライトはBill Evansの名曲「Waltz for Debby」ですね。本作と同じ1961年レコーディングの『Waltz For Debby』(1961年)ヴァージョンがあまりにも有名ですが、同じ年にレコーディングされたもう1つの「Waltz for Debby」も要チェックです。

それ以外にも「Goodbye」「Elsa」「Nancy (With the Laughing Face)」なんかはEvansを意識した選曲だと思います。

一方、「Who Cares?」「Toy」Adderleyらしいプレイを楽しめます。

さらにMJQへのリスペクトを感じる「Venice」も僕のお気に入り。

クリスマス・シーズンに聴くジャズとしては案外フィットしていると思います。

全曲紹介しときやす。

「Waltz for Debby」
Bill Evans/Gene Lees作。冒頭のEvansのピアノは『Waltz For Debby』ヴァージョンそのままな感じですが、Adderleyのサックスが入ると軽やかでスウィンギーな本ヴァージョンらしい演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=acX3MhM_dpw
『Waltz For Debby』(1961年)ヴァージョンと聴き比べるのも楽しいと思います。
「Waltz for Debby」(From Bill Evans『Waltz For Debby』
https://www.youtube.com/watch?v=P0FIsFD9MXU

「Goodbye」
Gordon Jenkins作。Benny Goodman Orchestraでお馴染みのスタンダードをカヴァー。Milt Jackson With Hubert Lawsのカヴァーも紹介済みです。これはAdderleyというよりEvans向けの選曲ですね。Evans、Heath、Kayのトリオ演奏でも良かったかも?
https://www.youtube.com/watch?v=GQSxofFjc1E

「Who Cares? (Take 5)」
George Gershwin/Ira Gershwin作品。当ブログではAnita O'Dayのカヴァーも紹介済みです。Heath、Kayのリズム隊が先導し、Adderleyのサックスが躍動する軽快な演奏です。Evansのソロも実にいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=kHQrQtIW60k

「Who Cares? (Take 4)」
ボーナス・トラック。「Who Cares?」の別ヴァージョン。コチラの方がリズム隊が目立ちますね。
https://www.youtube.com/watch?v=zkAxJyNT-NU

「Venice」
MJQ作品をカヴァー(John Lewis作)。MJQメンバーへの敬意を表したカヴァー・セレクトですね。演奏自体もMJQへのリスペクトを感じる落ち着いたトーンの穏やかな演奏がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=oRbYmVd1mrs

「Toy」
Clifford Jordan作。。メンバー全員がリラックスした雰囲気の軽やかに疾走する演奏がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6wcErvs_Dlk

「Elsa」
Earl Zindars作。Bill Evans『Explorations』(1961年)収録曲としても知られていますね。やはりこの曲はEvansの繊細な美しさを持つピアノが主役です。AdderleyもEvansワールドに必死に合わせている感じが面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=CN4pzCVql9M

「Nancy (With the Laughing Face)」
Phil Silvers/Jimmy Van Heusen作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。これもEvansのためにAdderleyが用意した楽曲かもしれませんね。実にロマンティックなバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=6dt4p1Zt5s4

「Know What I Mean? (Re-take 7)」
Bill Evans作。静のEvans、動のAdderleyという緩急のコントラストを明確にした、この二人の共演ならではの演奏が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=WVVROe83TVU

「Know What I Mean? (Take 12)」
「Know What I Mean? 」の別テイク。こちらは7分超の長尺です。上記テイクのようなEvansとAdderleyのコントラストは強調しておらず、ある意味こちらの方が自然な流れな気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=F3iPSfib4m4

Cannonball Adderleyの過去記事もご参照ください。

『Cannonball's Bossa Nova』(1962年)
キャノンボールズ・ボサノバ

『Mercy, Mercy, Mercy!』(1966年)
マーシー・マーシー・マーシー

『Country Preacher』(1969年)
カントリー・プリーチャー

『Inside Straight』(1973年)
Inside Straight

『Love, Sex, And The Zodiac』(1974年)
ラヴ・セックス・アンド・ザ・ゾディアック
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2020年12月10日

Joelma『Muito Mais』

ブラジル人女性シンガー☆Joelma『Muito Mais』

発表年:1968年
ez的ジャンル:ブラジル人女性シンガー
気分は... :伏せて開く!

今回は60年代ブラジルものからJoelma『Muito Mais』(1968年)です。

Joelma Giroは1945年生まれのブラジル人女性シンガー。

1960年代後半から70年代にかけて7枚のアルバムをリリースしています。

本作『Muito Mais』(1968年)は2ndアルバムとなります。

僕がJoelma Giroというアーティストについて知っているのはこの程度。

中古ショップのラテン/ブラジル・コーナーで見つけ、ジャケが気になり値段も手頃だったので購入した記憶があります。

本作は英米のみならず、ポルトガル、スペイン、イタリア、メキシコのアーティスト/コンポーザーの作品をカヴァーしているポピュラー作品です。

予備知識がなくわからないことだらけの1枚ですが、それが逆に面白いアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Tem Pena Desse Homem (Pity The Man)」
Roger Cook/Roger Greenaway作。多分、オリジナルは1966年、Bobbi Jeanヴァージョンだと思います。哀愁のメロディを思い入れたっぷりに歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=45NR-rvH6II

「Tem Que Ser Ele (It Must Be Him)」
US女性シンガーVikki Carr、1967年の大ヒット曲をカヴァー(Gilbert Becaud/Maurice Vidalin作)。元々フランス語の歌が英語歌詞でヒットし、さらにブラジル人シンガーでポルトガル語で歌うという流れが興味深いですね。明らかにフランス語が似合う曲調ですが、ポルトガル語の響きも悪くありません。
https://www.youtube.com/watch?v=eP-qy0GwOdI

「Jo-Jo (Jo-Jo) 」
Alan Moorhouse/David Gold/Gordon Rees作。The King BrothersやLarry Page Orchestraが1966年レコーディングしている楽曲をカヴァー。美しいストリングスを配したワルツ調のバッキングに合わせて、Joelmaが華麗な歌声を披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=03mnDhPOZ9U

「O Mar Nao Falara」
Jorge Costa Pinto作。オリジナルはポルトガルの女優/シンガーMadalena Iglesiasの1966年ヴァージョン。僕好みのビートの効いたグルーヴィー・ポップに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7f5FNkr8otk

「Silencio」
Sergio Odilon作。オーケストレーションをバックに従えた哀愁バラード。悲しい結末のドラマのエンディングテーマといったムードです。
https://www.youtube.com/watch?v=vucp2HAmjIU

「Toureiro」
Geraldo Nunes/Zito作。昭和歌謡のブラジル版といった雰囲気です。ホーン・サウンドジやマーチ調パートのメリハリが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=RVUvwcIbTtY

「Setembro (Septiembre)」
Jorge Domingo/Esperanza Navarro作。オリジナルはスペインの男性シンガーSantyの1966年ヴァージョン。哀愁のメロディを切なく歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=kkdWU4Dbwhc

「Esta Tarde Vi Chover (Esta Tarde Vi Llover)」
メキシコ人シンガー/コンポーザーArmando Manzaneroの作品をカヴァー。気品溢れるビューティフル・バラードは僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=T6fiK2jgfyE

「Bonequinho De Barro」
Joelmaのオリジナル。少しエキゾチックなバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=QJcjXF4Ut1I

「O Teu Passado (Il Tuo Passato)」
イタリア人シンガーMemo Remigi、1967年のシングルをカヴァー(Memo Remigi/Alberto Testa作)。イタリアの香りのするメロディを情感たっぷりに歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=7oiXoxL0yJM

「Cordao De Cores」
Franco Dilano/Glaucia Prado作。マーチ調リズムの哀愁バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=WvnxgXeUG1Q

「Pranto Teu」
Carlos Cesar作。ラストはムーディーなバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=qsZC7g2w8G4

『Joelma』(1966年)
posted by ez at 10:48| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月23日

The Left Banke『The Left Banke, Too』

バロック・ポップで人気を博したグループの2nd☆The Left Banke『The Left Banke, Too』

発表年:1968年
ez的ジャンル:バロック・ポップ/サイケ・ポップ
気分は... :ジャケ買いした1枚!

今回は60年代サイケ・ポップ作品からThe Left Banke『The Left Banke, Too』(1968年)です。

The Left Bankeは、Michael Brown(key)を中心に1965年N.Y.で結成されたバンド。

1966年にリリースしたデビュー・シングル「Walk Away Renee(邦題:いとしのルネ)」がUSチャート第5位のヒットとなり、いきなり商業的な成功を収めます。続くシングル「Pretty Ballerina」も同チャート第15位のヒットとなりました。

「Walk Away Renee」
 https://www.youtube.com/watch?v=qDfrW5cWqMU
「Pretty Ballerina」
 https://www.youtube.com/watch?v=m-Ep5x-DETc

その2曲のヒット・シングルを収めたデビュー・アルバム『Walk Away Renee/Pretty Ballerina』(1967年)をリリースしています。

The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)の影響を受けたクラシックのエッセンスを取り入れた彼らのポップ・サウンドは"バロック・ポップ"と呼ばれました。

ここまでは順調であったグループですが、その後はトラブルで混迷を極めます。中心であったMichael Brownがメンバー以外のミュージシャンと録音した音源をThe Left Banke名義でリリースしたことで、他メンバーと訴訟トラブルとなり、最終的にMichaelは脱退することになります。

さらにマネジメント側とメンバーの対立で何名かのメンバーが去り、残ったのは本作のジャケに写るSteve Martin Caro(vo)、Tom Finn(b)、George Cameron(ds、vo)の3名となってしまいました。

こんな状況下で制作されたのが本作『The Left Banke, Too』(1968年)です。

実際には、Michael Brown在籍のレコーディングも2曲あり、それ以外にTom Feher(p、g)もメンバーとして参加しています。

それ以外にSteve Tallarico(back vo)、Paul Griffin(key)、Hugh McCracken(g)等の外部ミュージシャンも参加しています。Steve Tallaricoは後にAerosmithのリード・ヴォーカルとなるSteven Tylerです。

本作でも『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)、『Magical Mystery Tour』(1967年)の影響を受けたバロック・ポップが展開されます。サイケ・ポップな楽曲が多いのもいいですね。

メイン・プロデュースはPaul Leka。それ以外にArthur Schroeck/Gene RadiceMichael Brownプロデュース曲も含まれます。

シングルにもなったMichael在籍時の「Desiree」が目立ちますが、バロック・サイケ・ポップな「Nice to See You」「There's Gonna Be a Storm」、美しいハーモニーを満喫できる「Dark is the Bark」「My Friend Today」あたりも僕のおススメです。

『Sgt. Pepper's』『Magical Mystery Tour』好き、サイケ・ポップ好き、ソフトロック好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Goodbye Holly」
Tom Feher作。Buddy Hollyに捧げられたオープニング。素敵なヴォーカルワークで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=uRWHdP3uWkM

「There's Gonna Be a Storm」
Tom Finn作。クラシカルなエッセンスとサイケなエッセンスを織り交ぜたバロック・サイケ・ポップがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=wO0geDRTTRc

「Sing Little Bird Sing」
Tom Feher作。幻想的かつ牧歌的なバロック・・ポップに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GFoVjUUJTi4

「Nice to See You」
Tom Finn作。僕好みのサイケなバロック・ポップ。バック・コーラスにはSteve Tallarico(Steven Tyler)も参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=fQqxuQHDZJM

「Give the Man a Hand」
Marvin Potocki作。『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の影響を強く感じる1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=uDwAVXqbuco

「Bryant Hotel」
Tom Feher作。バンジョーでアクセントをつけた哀愁チューン。カントリー・ロック×Sgt. Pepper'sみたいな雰囲気が面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jKKQaOc3lpQ

「Desiree」
Michael Brown/Tom Feher作。シングルにもなったMichael在籍時のレコーディング。ストリングス&ホーンを駆使した美しいハーモニーのソフトロックに仕上がっています。ギターはHugh McCracken。
https://www.youtube.com/watch?v=iHqy6EMr5Ro

「Dark is the Bark」
George Cameron/Tom Finn/Steve Martin Caro作。美しいハーモニーを満喫できる1曲。迷宮に迷い込んでしまったような感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=aPwMicQ1ca0

「In the Morning Light」
Michael Brown/Tom Feher作。この曲もMichael在籍時のレコーディング。『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』経由のポップ・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=HiioT8k5cug

「My Friend Today」
Tom Finn作。同じThe Beatlesでもコレは『Magical Mystery Tour』って感じですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yT-3_Wm9LTs

1stアルバム『Walk Away Renee/Pretty Ballerina』(1967年)もセットでどうぞ!

『Walk Away Renee/Pretty Ballerina』(1967年)
posted by ez at 00:54| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月07日

The Rolling Stones『12 X 5』

聖地チェス・スタジオでのUS初レコーディング☆The Rolling Stones『12 X 5』

発表年:1965年
ez的ジャンル:初期Stones
気分は... :チェス・スタジオの魔法 !

最近は"久々の●●、◆◆年ぶりのエントリー"パターンが多いのですが、今回は9年ぶりにThe Rolling Stonesです。

数日前に『The Rolling Stones Rock and Roll Circus』(1968年)の映像を久々に観る機会があり、Stonesサウンドを耳にしたくなりました。

セレクトしたのは『12 X 5』(1964年)です。

これまで本ブログで紹介してきたStones作品は以下の10枚(発売年順)。

 『The Rolling Stones, Now!』(1965年)
 『December's Children (And Everybody's)』(1965年)
 『Aftermath』(1966年)
 『Between the Buttons』(1967年)
 『Beggars Banquet』(1968年)
 『Let It Bleed』(1969年)
 『Sticky Fingers』(1971年)
 『Exile on Main St.』(1972年)
 『Black And Blue』(1976年)
 『Emotional Rescue』(1980年)

本作『12 X 5』(1964年)は『England's Newest Hit Makers』(1964年)に続くUSでの第2弾アルバムです。

ご存じのとおり、初期Stones作品はUKとUSと大きく異なり、その関係を把握するのがややこしいのですが、本作のベースとなっているのがStonesにとって初のUSレコーディングとなった1964年6月のシカゴ、チェス・スタジオでのセッションです。ブルース、R&Bの名門チェス・レコードの本拠地チェス・スタジオはStonesメンバーにとっての聖地であり、そこでのレコーディングは彼らの悲願でした。

そのチェス・スタジオでのレコーディングのうち、5曲はUKでEP「Five by Five」としてリリースされ、それとは別に「It's All Over Now」、がUSでシングル・リリースされました。

この6曲にロンドン・レコーディングの6曲を加えてアルバム仕様にし、USでリリースされたのが本作『12 X 5』です。

Mick Jagger(vo、harmonica、per)、Keith Richards(g、back vo)、Brian Jones(g、harmonica、tambourine、maracas、 organ、back vo)、Charlie Watts(ds)、Bill Wyman(b、per、back vo)というメンバー5人以外にIan Stewart(p、org)が参加しています。プロデュースはAndrew Loog Oldham

アルバムはUSアルバム・チャート第3位となっています。

やはり注目すべきはチェス・スタジオでの6曲ですね。ブルース、R&Bの本場で刺激を受けたメンバーの興奮・喜びがそのまま音に反映されているのでは?

人気曲「Time Is on My Side」チェス・スタジオでの6曲以外であれば、「Grown Up Wrong」「Susie Q」の2曲がおススメです。

チェス・スタジオの魔法が生み出した初期Stonesの傑作を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Around and Around」
EP「Five by Five」収録曲。Chuck Berryのカヴァーがオープニング。1958年に大ヒットしたロックンロール・クラシック「Johnny B. Goode」のシングルB面だった曲です(Chuck Berry作)。Chuck Berryらしい黒さと軽さが同居するロックンロールにチェス・スタジオで演奏する喜びが溢れています。
Ian Stewartのブギウギ・ピアノもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=W3sr9Z89HyQ

「Confessin' the Blues」
EP「Five by Five」収録曲。Jay McShann/Walter Brown作のブルース・クラシックをカヴァー。聖地チェス・スタジオでスロー・ブルースを堂々と演奏する若きStones!想像するだけでも興奮してきますね。
https://www.youtube.com/watch?v=qVf6BhlHUjQ

「Empty Heart」
EP「Five by Five」収録曲。Nanker Phelge名義によるグループのオリジナル。個人的にはコレが一番のお気に入り!チェス・スタジオの魔法がオリジナル曲もレベル・アップさせたようです!R&B志向のバンドとしての方向性が明示されているように思います。
https://www.youtube.com/watch?v=he_ISefSQeo

「Time Is on My Side」
Norman Meade(Jerry Ragovoy)作品のカヴァー。オリジナルは1963年のジャズ・トロンボーン奏者Kai Windingによるインスト。Jimmy Normanによる歌詞をつけて女性ソウル・シンガーIrma ThomasとStonesが共に1964年にカヴァーしています。シングルにもなり、USチャート第6位のヒットとなっています。お馴染みの人気曲ですね。ゴスペル調のオルガンと共に始まるソウル・フィーリングに溢れたバラードです。ただし、アルバム全体で考えると、後述するチェス・スタジオ録音のThe second versionの方がハマる気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=7jStGLgQkSw

本作収録のロンドン・レコーディングのUSシングル・ヴァージョン(The first version)とは別に1964年12月にチェス・スタジオでレコーディングし直したThe second versionがあります。オルガンのみのイントロがThe first version、ギターがフィーチャーされたイントロがThe second versionです。The second versionはUKでの2ndアルバム『The Rolling Stones No. 2』(1965年)に収録されています。
「Time Is on My Side」(The second version)
https://www.youtube.com/watch?v=JforKK52WIw

「Good Times, Bad Times」
Mick Jagger/Keith Richards作。オリジナルのフォーキー・ブルース。悪くはないですが、チェス・スタジオでのセッションと比較するとかなり少しぎこちなく青い感じがしますね。
https://www.youtube.com/watch?v=rhzA5YA32wg

「It's All Over Now」
The Valentinos (The Womack Brothers)、1964年のシングル・ヒットをカヴァー(Bobby Womack/Shirley Womack作)。シングルとしてUKチャート第1位(Stones初のUK No.1)、USチャート第26位となっています。こういうR&Bヒットを自分たちらしいスタイルで聴かせてしまうあたりもチェス・スタジオ・セッションの成果だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=jOcCrvzqVnk

「2120 South Michigan Avenue」
EP「Five by Five」収録曲。Nanker Phelge名義によるオリジナルのインスト。タイトルはチェス・レコード本社住所、サウス・ミシガン・アベニュー2120番地、すなわちStonesメンバーにとっての聖地を冠したものです。チェス・スタジオで演奏する喜びから生まれた副産物といったところでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=KXQYDfLxVtk

「Under the Boardwalk」
The Drifters、1964年のUSチャートNo.1ヒット「渚のボードウォーク」をカヴァー(Arthur Resnick/Kenny Young作)。お馴染みのヒット曲のカヴァーですが、正直Stonesにはフィットしていない気もします。Mickのヴォーカルも少しお行儀が良すぎますよね(笑)。
https://www.youtube.com/watch?v=MC_XZbjPMSM

本曲に関して、当ブログではSteve ParksSoloTom Tom Clubのカヴァーも紹介済みです。

「Congratulations」
Mick Jagger/Keith Richards作。オリジナルのカントリー・ソウル。派手さはありませんが、若きMickとKeithがこんなシブい曲を作るところがStonesらしさかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=A0OoeFnh3VA

「Grown Up Wrong」
Mick Jagger/Keith Richards作。Stonesらしい悪ガキさが反映されたR&B調のオリジナル。こういうの好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=zteVEgjYTus

「If You Need Me」
EP「Five by Five」収録曲。オリジナルはWilson Pickett(Robert Bateman/Wilson Pickett作)ですが、Solomon BurkeのR&Bヒットで知られる楽曲をカヴァー。チェス・スタジオ・セッションの成果が窺えるStonesらしい味わいのソウル・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=038NVTEaWuk

「Susie Q」
Dale Hawkinsが1957年にリリースしたロカビリーのカヴァー(Eleanor Broadwater/Stan Lewis/Dale Hawkins作)。Creedence Clearwater Revivalによるカヴァー・ヒットでも知られる曲です。Charlieのドラミングが冴えわたるStones流ロックンロールに仕上がっています。この曲もチェス・スタジオ・セッションで聴いてみたかった!
https://www.youtube.com/watch?v=XN8J0NMALy4

The Rolling Stonesの過去記事もご査収ください。

『The Rolling Stones, Now!』(1965年)
ザ・ローリング・ストーンズ・ナウ!

『December's Children (And Everybody's)』(1965年)


『Aftermath』(1966年)


『Between the Buttons』(1967年)


『Beggars Banquet』(1968年)


『Let It Bleed』(1969年)


『Sticky Fingers』(1971年)


『Exile on Main St.』(1972年)


『Black And Blue』(1976年)


『Emotional Rescue』(1980年)
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2020年10月22日

The Byrds『The Notorious Byrd Brothers』

サイケデリックな1枚☆『The Notorious Byrd Brothers』

発表年:1968年
ez的ジャンル:サイケデリック・フォーク・ロック
気分は... :第4のメンバーは馬?

久々にThe Byrdsのエントリーです。
前回The Byrdsを取り上げたのが2008年なので12年ぶりですね。

自分ではそのような感覚はまったくないのですが、多分12年間The Byrds作品を殆ど聴いていなかったということだと思います。

今回セレクトしたのは、ファンの間では評価の高い1枚、『The Notorious Byrd Brothers』(邦題:名うてのバード兄弟)(1968年)です。

1960年代から70年代初めに活躍したフォーク・ロック/カントリー・ロック・バンドThe Byrdsについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の4枚。

 『Mr. Tambourine Man 』(1965年)
 『Fifth Dimension』(1966年)
 『Younger Than Yesterday』(1967年)
 『Ballad Of Easy Rider』(1969年)

本作『The Notorious Byrd Brothers』(1968年)は、グループの転換期の1枚であり、時代の流れとグループ内の混乱が入り混じった1枚です。

プロデュースは前作『Younger Than Yesterday』(1967年)と同じくGary Usher

本作はThe Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)の影響を感じるサイケデリックなトータル・コンセプトに仕上がっています。これはメンバーというよりGary Usherの志向性だったのかもしれませんね。

ジャケに写るメンバーは、Roger McGuinn(vo、g、moog)、Chris Hillman(vo、b、mandolin)、Michael Clarke(ds)の3名。

David Crosby(vo、g、b)はアルバム収録曲を巡って対立し、レコーディング途中でグループを脱退してしまっています。そのDavid Crosbyの代わりに馬がメンバーと共に写っているのがビミョーですね。

そんな状況で元メンバーGene Clarkにも声がかかり、バック・ヴォーカルで参加しています。

また、レコーディングにはClarence White(g)、Red Rhodes(pedal steel)、Jim Gordon(ds)、Hal Blaine(ds)、Curt Boettcher(back vo)James Burton(g)、Paul Beaver(p、moog)、Barry Goldberg(org)等のミュージシャンが参加しています。

アルバムを貫く幻想的なサイケ・フィーリングが今日の僕の気分に実にフィットします。

いきなりのブラス・サウンドに驚かされる「Artificial Energy」Crosby脱退の一因となった曰くつきのシングル曲「Goin' Back」、ソフト・サイケな魅力にあふれた「Natural Harmony」「Draft Morning」The CityでセルフカヴァーしたCarole King作品「Wasn't Born to Follow」、異色のカントリー・ワルツ「Get to You」というオリジナルLPのA面の流れがとてもいいですね。

長らく我が家のCD棚の奥に眠っており、アルバム通しで聴いたのは15年ぶり位ですが、サイケデリックなフォーク・ロックが昔よりも僕の耳にフィットした気がします。

全曲紹介しときやす。

「Artificial Energy」
Roger McGuinn/Chris Hillman/Michael Clarke作。意表を突くブラス・サウンドが印象的なオープニング。ブラス・ロックのイメージが強いですが、よく聴くとR&Bフィーリングもある掴みどころのない感じが魅力かも?
https://www.youtube.com/watch?v=WLGsh611Qk4

「Goin' Back」
Carole King/Gerry Goffin作。Dusty Springfield、1966年のシングル曲のカヴァー。David Crosby作の「Triad」の巡る対立からアルバムの制作の遅れていたため、レコード会社からの提案でレコーディングし、シングル・リリースした楽曲です(ヒットはしませんでしたが)。結局、本曲のアルバム収録、「Triad」のアルバム収録否決が原因でCrosbyはグループを去りました。そんな背景が絡んだシングル曲ですが、サイケでバロックなソフトロックはアルバムで最もキャッチーな仕上がりです。もっとも、そのポップさをCrosbyは嫌っていたのですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=i849OKrpPms

「Natural Harmony」
Chris Hillman作。ソフトなサイケ感覚が魅力のフォーキー・チューン。霧の中を彷徨うような幻想ワールドがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=3P1vtN6bUq0

「Draft Morning」
David Crosby/Chris Hillman/Roger McGuinn作。サイケで、『Sgt. Pepper's 』的で、ラブ&ピースで反戦というこの時代らしいエッセンスが凝縮された1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=1ancCWvjm80

「Wasn't Born to Follow」
Carole King/Gerry Goffin作。その後のカントリー・ロック路線を連想させますが、途中のアシッドなアクセントは本作ならではですね。
https://www.youtube.com/watch?v=PrU9iI2VxPE

作者Carole Kingは自身が参加していたThe Cityでセルフ・カヴァーしています。当ブログでも紹介した『Now That Everything's Been Said』(1968年)に収録されています。

「Get to You」
Gene Clark/Roger McGuinn作(※クレジット上はRoger McGuinn/Chris Hillman作)。ストリングスを配したカントリー・ワルツ。独特の雰囲気があっていい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=ZzwvuEGnVbs

ここまでがオリジナルLPのA面です。折り返しでオリジナルLPのB面へ・・・

「Change Is Now」
Roger McGuinn/Chris Hillman作。本作ならではのサイケデリック・カントリー。カントリー嫌いの僕でも、こういうのは大歓迎です。
https://www.youtube.com/watch?v=sJOmHWxS-Jc

「Old John Robertson」
Roger McGuinn/Chris Hillman作。これはモロにカントリー色が前面に出ていますが、ストリングスやヴォーカル・ワークのおかげで、僕の嫌いなカントリーの一歩手前で踏みとどまっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7lQtKZ6NPf0

「Tribal Gathering」
David Crosby/Chris Hillman作。ジャズ、ロック、サイケ、ソフトロックのエッセンスが入り混じった印象的な1曲。アルバムのいいアクセントになっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=6sdlv420roM

「Dolphin's Smile」
David Crosby/Chris Hillman/Roger McGuinn作。タイトルの通り、イルカの鳴き声を模したようなシンセ音と共に始まるDavid Crosbyらしいサイケ・フォーキー・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=-6fS2gLRBUc

「Space Odyssey」
Roger McGuinn/Robert J. Hippard作。ラストはタイトル通り、スペイシーな仕上がり。Stanley Kubrick監督の『2001: A Space Odyssey(2001年宇宙の旅)』(1968年)にインスパイアされた曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=lWiSmhUBDi8

オリジナルは以上の11曲ですが、最近の再発CDにはDavid Crosby脱退の原因となった「Triad」もボーナス・トラックで追加収録されています。「Triad」Jefferson Airplaneも取り上げていますね(アルバム『Crown of Creation』収録)。
「Triad」
https://www.youtube.com/watch?v=6e2BEqFD798

The Byrdsの他作品もチェックを!

『Mr. Tambourine Man 』(1965年)


『Turn! Turn! Turn!』(1965年)


『Fifth Dimension』(1966年)


『Younger Than Yesterday』(1967年)


『Sweetheart of the Rodeo』(1968年)


『Dr. Byrds & Mr. Hyde』(1969年)


『Preflyte』(1969年)


『Ballad Of Easy Rider』(1969年)


『(Untitled)』(1970年)


『Byrdmaniax』(1971年)


『Farther Along』(1971年)


『Byrds』(1973年)
posted by ez at 04:54| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする