2023年01月03日

Cassandra Wilson『Coming Forth By Day』

Billie Holidayへのトリビュート☆Cassandra Wilson『Coming Forth By Day』

発表年:2015年
ez的ジャンル:ブルージー女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :2023年最初の1枚!

新年明けましておめでとうございます。
本年も自分の好きな音楽を自由に紹介していきたいと思います。

2023年最初の1枚は、現代最高峰の女性ジャズ・シンガーの一人、"プリンセス・オブ・ダークネス"ことCassandra Wilson『Coming Forth By Day』(2015年)です。

これまで当ブログで紹介したCassandra Wilsonは以下の10枚(発売年順)。

 『Point Of View』(1986年)
 『Days Aweigh』(1987年)
 『Jumpworld』(1990年)
 『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
 『New Moon Daughter』(1995年)
 Jacky Terrasson & Cassandra Wilson『Rendezvous』(1997年)
 『Traveling Miles』(1999年)
 『Belly Of The Sun』(2002年)
 『Glamoured』(2003年)
 『Another Country』(2012年)

本作『Coming Forth By Day』(2015年)は、生誕百周年を迎えた不世出の女性ジャズ・シンガーBillie Holidayへのトリビュート・アルバムです。オリジナルの「Last Song (For Lester)」以外は、すべてBillie Holidayのレパートリーです。

2015年は本作以外にもBillie Holidayへのトリビュート・アルバムがリリースされました。当ブログでも紹介したJose James『Yesterday I Had The Blues』もそんな1枚です。

Jose James『Yesterday I Had The Blues』(2015年)
イエスタデイ・アイ・ハド・ザ・ブルース

それでも“ジャズ・ヴォーカルの女王”へのトリビュートが一番似合うのはプリンセス・オブ・ダークネスですよね。

そんな本作『Coming Forth By Day』は、『Traveling Miles』(1999年)以来のUSジャズ・アルバム・チャート第1位となりました。

プロデュースはNick Launay。さらにEd Gerrardが共同プロデューサーとしてクレジットされています。

Van Dyke Parksがストリングス・アレンジを手掛けています。

Cassandra Wilson(vo、g)以下、Kevin Breit(g、banjo)、Jon Cowherd(p、org)、Nick Cave and the Bad SeedsMartyn P. Casey(b)とThomas Wydler(ds、per)、Robby Marshall(woodwinds、melodica)、Ming Vauze(guitar string)、T Bone Burnett(baritone guitar)、Yeah Yeah YeahsNick Zinner(g)、Eric Gorfain(violin)等がレコーディングに参加しています。

「Good Morning Heartache」「Strange Fruit」「Don't Explain」「Billie's Blues」「Crazy He Calls Me」あたりはプリンセス・オブ・ダークネスらしさを存分に楽しめます。

ロマンティックな「The Way You Look Tonight」「What a Little Moonlight Can Do」、他のトラックとサウンドの質感が異なる「You Go to My Head」、さり気ない「These Foolish Things」あたりもオススメです。

“ジャズ・ヴォーカルの女王”Billie Holidayと"プリンセス・オブ・ダークネス"ことCassandra Wilsonがリンクするブルージーな女性ジャズ・ヴォーカル・ワールドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Don't Explain」
Arthur Herzog, Jr./Billie Holiday作。このオープニングを聴けば、CassandraがBillie Holidayの後継者に相応しいシンガーであることを実感できます。♪言い訳はしないで、帰ってきてくれてうれしいわ♪と歌う切ないラブソング。Cassandraの抑えたトーンの低音ヴォーカルが切なさを助長します。
https://www.youtube.com/watch?v=trksiwm9bvY

「Billie's Blues」
Billie Holiday作。プリンセス・オブ・ダークネスらしいブルージーなダーク感がたまわない1曲。土臭さと呪術的なミステリアス感の混ざり具合がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=PB1HK-rlVig

「Crazy He Calls Me」
Carl Sigman/Sidney Keith Russell作。しっとりとした中の気怠さが絶妙なブルージー・バラード。この味わいはCassandraに出せないものかもしれませんね。ストリングスによる演出も効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=o0S5NDXdDhE

「You Go to My Head」
Haven Gillespie/J. Fred Coots作。それまでの3曲とサウンドの質感が異なるのが印象的です。オーセンティックさとコンテンポラリー感を併せ持つモダンなサウンドをバックに、Cassandraが優しく歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=ayBMyOe-rdE

「All of Me」
Gerald Marks/Seymour Simons作のスタンダード。プリンセス・オブ・ダークネスらしく哀愁ムードたっぷりで歌い上げます。地を這うような低音ヴォーカルが哀愁モードによくフィットします。
https://www.youtube.com/watch?v=PsPT7KZrNYo

「The Way You Look Tonight」
Dorothy Fields/Jerome Kern作。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。アルバムで最もロマンティックなラブ・バラードに仕上がっています。優しさに包まれたCassandraの低音ヴォーカルも悪くありませんよ。
https://www.youtube.com/watch?v=yBcijYD7778

「Good Morning Heartache」
Dan Fisher/Ervin Drake/Irene Higginbotham作。前述のJose James『Yesterday I Had The Blues』でもオープニングを飾った曲であるため、僕の中でBillie Holidayの歌というイメージが強い曲です。そのJose Jamesヴァージョンもインパクトがありましたが、情熱的なCassandraヴァージョンも迫力満点です。
https://www.youtube.com/watch?v=-gbZiBQZ1zU

Cassandraヴァージョンとは対照的なJose Jamesヴァージョンとの聴き比べも楽しいのでは?
Jose James「Good Morning Heartache」
 https://www.youtube.com/watch?v=14MykpfXuXg

当ブログではJose Jamesの他にJill Scottのカヴァーも紹介済みです。

「What a Little Moonlight Can Do」
Harry M. Woods作。当ブログではJose Jamesのカヴァーも紹介済みです。「The Way You Look Tonight」と並ぶ僕のお気に入り。ロマンティックなラブ・バラードを抜群の表現力で優しく歌い上げます。美しいストリングス・アレンジもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=ExLPqNTgo8k

「These Foolish Things」
Eric Maschwitz/Jack Strachey作。さり気なさが魅力のビューティフル・バラード。オーセンティックな雰囲気ですが、逆にCassandraの貫禄を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=P892Yw0jc9Y

「Strange Fruit」
邦題「奇妙な果実」。Billieの代表的なレパートリーとしてお馴染みですね。1939年、Lewis Allanによって書かれた当時のアメリカ南部の人種差別による黒人リンチの光景を描いた歌です。Cassandraは『New Moon Daughter』(1995年)でも本曲をカヴァーしています。当ブログではJose Jamesのカヴァーも紹介済みです。これはもうCassandraにハマりすぎの楽曲ですよね。まさにプリンセス・オブ・ダークネスの本領発揮の1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=YyNtFAMMsuA

「I'll Be Seeing You」
Irving Kahal/Sammy Fain作。当ブログではMark Murphyのカヴァーも紹介済みです。美しくもミステリアスなバッキングが印象的なバラードをCassandraがしっとり歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=x3RZ1pYLxdI

「Last Song (For Lester)」
Cassandra Wilson/Jon Cowherd/Kevin Breit/Martyn Casey/Robby Marshall/Thomas Wydler作。唯一のオリジナル曲。Billie Holidayの盟友であった偉大なジャズ・ミュージシャンLester Youngの葬儀で彼女が歌おうとして遺族から断られたエピソードに基づき書かれた曲。プリンセス・オブ・ダークネスらしいブルージーな雰囲気で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=aKPPWkEU6GY

Cassandra Wilsonの過去記事もご参照下さい。

『Point Of View』(1986年)
ポイント・オブ・ヴュー

『Days Aweigh』(1987年)
デイズ・アウェイ

『Jumpworld』(1990年)
ジャンプワ−ルド(JUMPWORLD) (MEG-CD)

『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
Blue Light 'Til Dawn

『New Moon Daughter』(1995年)


Jacky Terrasson & Cassandra Wilson『Rendezvous』(1997年)


『Traveling Miles』(1999年)
トラヴェリング・マイルス

『Belly Of The Sun』(2002年)
Belly of the Sun

『Glamoured』(2003年)
Glamoured by Wilson, Cassandra 【並行輸入品】

『Another Country』(2012年)
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2022年12月07日

Swindle『No More Normal』

UKクラブミュージックとUK新世代ジャズのクロスオーヴァー☆Swindle『No More Normal』

発表年:2018年
ez的ジャンル:UKグライム×ジャズ×ソウル/ファンク
気分は... :PK戦は運か実力か?

UKクラブミュージックとUK新世代ジャズのクロスオーヴァー、Swindle『No More Normal』(2018年)です。

Swindle(本名:Cameron Palmer)は、1987年ロンドン生まれのプロデューサー/キーボード奏者/トークボクサー。

UKグライム・シーンから登場し、様々なアーティストとのコラボレーションによるジャズ、Hip-Hop、ソウル/ファンクも取り込んだクロスオーヴァーな音楽性で人気を博しています。

これまで『Curriculum Vitae』(2009年)、『Long Live the Jazz』(2013年)、『Peace, Love & Music』(2015年)、『No More Normal』(2018年)、『The New World』(2021年)といったアルバムをリリースしています。

前からSwindleを取り上げようと思っていたのですが、これまで機を逃してきました。しかし、少し前に紹介した『Blue Note Re:imagined II』(2022年)でSwindleがフィーチャリングされていたことで「今度こそは」と思い、ようやくエントリーできました。

Gilles PetersonBrownswood Recordingsからのリリースとなる4thアルバム『No More Normal』は、Nubya Garcia(sax)、Yussef Dayes(ds)といったUK新世代ジャズ・ミュージシャンや、D Double EP Money等のUKグライム・シーンのラッパーの参加が目を引きます。

これまで以上に生演奏を重視しており、そのせいかR&B/ソウル・マインドが高くなっている印象を受けます。その意味では、他のSwindle作品よりもかなり聴きやすいと思います。

僕のSwindleに対するイメージを大きく変えてくれた1枚。
トークボックス多めな点も含めて僕好みの1枚に仕上がっています。

全曲紹介しときやす。

「What We Do」
D Double E、Daley、P Money、Rider Shafiqueをフィーチャー。美しいストリングスをバックにしたRider Shafiqueのスピーチと共に始まる前半と、D Double E、Daley、P Moneyをフィーチャーしたグライムな後半という二部構成のオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=4WC3L8ZbiUs

「Get Paid」
Swindleのトークボックスを楽しめる小曲。短いながらも、ソウル/ファンク、Hip-Hop、ジャズのクロスオーヴァーを楽しめます。

「Drill Work」
Ghettsをフィーチャー。不穏なムードのグライム・チューンながらも、ドラマティックなストリングス&ホーンを織り交ぜているあたりがSwindleらしいのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=iYumtTB2zIw

「Run Up」
Eva Lazarus、Kiko Bun、Knucks、Nubya GarciaをフィーチャーまるでD'Angeloを思わせるような雰囲気のR&B/ソウルトラックに仕上がっています。
そこにラップやNubya Garciaのムーディーなサックスが絡む、ソウルフルなSwindleワールドを楽しめます。

「Coming Home」
UK新世代ジャズ作品にも数多く参加するUKラッパーKojey Radicalをフィーチャー。ここではよりソウルフルなトラックをバックに、情感のあるフロウを聴かせてくれます。雰囲気のあるホーン隊もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=VKiiECYQsWA

「Reach The Stars」
ガーナ系のUKソウル・シンガーAndrew Ashongをフィーチャー。ここではヴォーカルのみならず、ギター、ベースもプレイしています。そこにSwindleのトークボックスが絡むネオソウル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Pr2b7FvF1dQ

「Knowledge」
Eva Lazarus、Kiko Bunをフィーチャー。ブリストル出身の女性シンガーEva Lazarusのラップ交じりのヴォーカルが印象的なHip-Hopトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=x38lm6EIQ30

「Take It Back」
D Double Eをフィーチャー。哀愁モードのグライム・チューン。Swindleのトークボックスやストリングスでよりソウルフルな質感となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=swzm25pEUt0

「California」
Etta Bond、Kojey Radicalをフィーチャー。生演奏重視の本作らしいグルーヴ感が印象的なトラック。この少しレイジーな雰囲気がカリフォルニアっぽいのかな?
https://www.youtube.com/watch?v=X0MJIFjR-f8

「Talk A Lot」
Eva Lazarusをフィーチャー。Yussef Dayes(ds)も参加しています。開放的なカリビアン・テイストも織り交ぜたグルーヴィーな仕上がり。新たなSwindleワールドで楽しませてくれます。

「Grateful」
Kojey Radical、Rider Shafiqueをフィーチャー。本編ラストは大きな愛を感じるビューティフル・トラックで締め括ってくれます。

「Dejà vu」
国内盤ボーナス・トラック。Swindle流ディスコ・ファンク。本編と異なる弾けたパーティー・モードで楽しませてくれます。

Swindleの他作品もチェックを!

『Curriculum Vitae』(2009年)


『Long Live the Jazz』(2013年)


『Peace, Love & Music』(2015年)


『The New World』(2021年) ※アナログ盤
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2022年11月16日

Prophet『Wanna Be Your Man』

Stones Throwから34年ぶりの復活アルバム☆Prophet『Wanna Be Your Man』

発表年:2018年
ez的ジャンル:Stones Throw系モダン・ブギー
気分は... :忘れ物を取りに行く・・・

今回は80年代リリースしたブギー・アルバムが一部マニアから評価されていた男性シンガーProphet、34年ぶりの復活アルバム『Wanna Be Your Man』(2018年)です。

Prophetは、1984年にマイナー・レーベルから唯一のアルバム『Right On Time』をリリースしています。

Prophet『Right On Time』(1984年) ※アナログ盤


1984年当時、僕もティーンエイジャーで洋楽のダンス/ファンク作品も多少は聴いていましたが、Prophetについては全く記憶がありません。その一方で、『Right On Time』は一部マニアからは評価されていたようです。

そんなProphetが人気レーベルStones Throwから34年ぶりの復活アルバムとしてリリースしたのが本作『Wanna Be Your Man』(2018年)です。レーベル・オーナー/創設者のPeanut Butter Wolf『Right On Time』を入手し、DJでプレイしたことや、ミックスCDJames Pants & Daam-Funk『Chart-Toppers』(2013年)で『Wanna Be Your Man』収録の「You Really Turn Me On」が収録されたことで、忘れられた存在であったProphetが注目されるようになりました。

僕が本作に注目したのは、当ブログでも何度かアルバムを紹介したL.A.を拠点とするプロデューサー/ビートメイカー/シンガー・ソングライターMndsgnが、Prophet本人と共に全面プロデュースしている点です。

Mndsgnプロデュースのモダン・ブギー作品ならば悪いわけないだろう!というのが購入理由ですね。

MndsgnProphet以外にSwarvyも共同プロデューサーとして2曲でクレジットされています。

L.A.モダン・ファンクの立役者Dam-Funkとのコラボでも知られる女性アーティスNite Jewelをフィーチャーしたトラックもあります。またアルバムの先行曲「Insanity」のPVにはL.A.モダン・ファンクの立役者Dam-Funkがカメオ出演しています。

本作用に書かれた新曲(すべてMndsgn/Prophetとの共作)以外に、Prophet『Right On Time』(1984年)に収録されていた楽曲のリメイクが3トラックあるのもお楽しみです。オリジナルと聴き比べるのも楽しいのでは?

L.A.モダン・ファンク好きの人であれば、満足度の高い1枚に仕上がっていると思います。

先行曲「Insanity」、パーティー・モードの「Party」、哀愁のメロウ・ファンク「I Do Love」「Tonight」「Right On Time」という『Right On Time』からのリメイク2曲あたりが僕のオススメです。

80年代ブギーとL.A.モダン・ファンクの時を越えた融合を楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Insanity」
アルバムからの先行曲。PVにはL.A.モダン・ファンクの立役者Dam-Funkがカメオ出演しています。Mndsgnらしいセンスのモダン・ブギーに仕上がっています。この1曲で本作の魅力がわかるはずです。煌びやかなのに、どこか寂しげなシンセの音色がいいですね。80年代ブラコンと2018年モダン・ブギーがうまく融合しています。
https://www.youtube.com/watch?v=MCVXRB-j8DM

「Wanna Be Your Man」
Swarvyも共同プロデューサーとしてクレジットされています。哀愁モードの官能ミディアム・ファンク。80年代ファンク好きの人あれば楽しめるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=ge0SBPxgBqY

「Ooo Wee Yeah」
リラックスした雰囲気ですが、それが少し気が抜けた感じで、本作の中ではイマイチ感のあるトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=ssKEEeGwwig

「Party」
MndsgnやL.A.モダン・ファンク好きの人であれば気に入るであろうパーティー・モードのモダン・ダンサー。シンセのブリブリ感がいいですね!
https://www.youtube.com/watch?v=yjFbq46MT80

「I Do Love」
哀愁のメロウ・ファンク。寂しげながらも程良くメロウなのがいいですね。ニヒリズム感覚のファンクとでも呼びたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=gUlMwn5dNw8

「Tonight」
『Right On Time』収録曲のリメイクその1。Nite Jewelがフィーチャリングされています。元々はNite Jewelが自身の名義で「Tonight」をカヴァーしており、その流れで彼女が起用されたようです。華やかなキャッチーさという点では、「Insanity」と並ぶハイライトかもしれません。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、2018年のL.A.モダン・ファンク仕様にアップデートさせているのがいいですね。サウンド面でもかなり洗練されていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=r8fqCe2qdxI

「Tonight」 From 『Right On Time』(1984年)
 https://www.youtube.com/watch?v=awesgX7jlvk

「Really Turn Me On」
『Right On Time』収録曲のリメイクその2。オリジナルは先に紹介したミックスCD『Chart-Toppers』にも収録されていた「You Really Turn Me On」です。オリジナルの雰囲気を比較的残した哀愁メロウ・ファンクで楽しませてくれます。80年代ならではの曲調がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SW_r2i5YX2A

「You Really Turn Me On」 From 『Right On Time』(1984年)
 https://www.youtube.com/watch?v=LUANnZUYvVg

「Right On Time」
『Right On Time』収録曲のリメイクその3。オリジナルは何処となくPrince殿下を思わせる妖しげな哀愁メロウ・ファンクでしたが、本ヴァージョンはそれをL.A.モダン・ファンク寄りにアップデートさせた雰囲気です。ヘタウマ感のあるファルセット・ヴォーカルが妖しげでグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=zvc0-_y33Js

「Right On Time」 From 『Right On Time』(1984年)
 https://www.youtube.com/watch?v=NUKerjnzElw

「Dream」
L.A.モダン・ファンクらしいキャッチーな仕上がり。少しレイジーな雰囲気もいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=LcOQEuBXSAw

「I Do」
Swarvyも共同プロデューサーとしてクレジットされています。ラストはスペイシーなロウ・ファンクで締め括ってくれます。重心の低いゴツゴツ感が魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=XDW3q4jkI5U

2020年にはStones Throwから第2弾アルバム『Don't Forget It』『Don't Forget It』(2020年)  ※アナログ盤
posted by ez at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年10月19日

The Liberators『Power Struggle』

オーストラリアのアフロ・ファンク・バンドの2nd☆The Liberators『Power Struggle』

発表年:2013年
ez的ジャンル:オージー産アフロ・ファンク
気分は... :権力闘争!

今回はオーストラリアのアフロ・ファンク・バンドの2ndアルバムThe Liberators『Power Struggle』(2013年)です。

The Liberatorsは、Nathan Austを中心に結成されたオーストラリアのアフロ・ファンク・バンド。

Nathan Austはオーストラリアのファンク・バンドDojo Cutsのメンバーでもあり、両バンドは兄弟バンドという位置づけだったかもしれません。

これまでThe Liberatorsとして、『The Liberators』(2011年)、『Power Struggle』(2013年)という2枚のアルバムをリリースしています。

2ndアルバムとなる本作におけるメンバーは、Nathan Aust(g)、George Sheridan(b)、Andrew Samuel(ds)、Colin Ho(key)、Gio Ruscio(congas、per)、Andrew Symons(bs)、Michael Gordon(ts)、Ken Allars(tp)、Frank Dasent(tb)という9名。

また、Dojo Cutsの女性シンガーRoxie Rayがフィーチャリングされている楽曲もあります。

プロデュースはNate GoldentoneNathan Austの別名)。

楽曲はすべてグループのオリジナルです。

基本はアフロ・ファンク作品ですが、エチオピアン・ジャズやアフロビートなども交えた、前作『The Liberators』(2011年)以上にバラエティに富んだ内容に仕上がっています。

アフリカやUKのアフロ・ファンクとは、また一味違ったグルーヴを楽しむことができます。

全曲紹介しときやす。

「Cairo Uprising」
タイトルはエジプト、カイロですが、実際の音はエチオピアン・ジャズをイメージさせるオープニング。少しエキゾチックなホーン・サウンドが印象的です。

「Soul Dive」
ホーン・サウンド以外は少し抑えたトーンのアフロ・ファンクですが、その抑えた感じがモダンでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Jf7yu0RC-3o

「Dark River」
ダークでサイケデリックなアフロ・ファンク。エチオピアン・テイストのサイケ・サウンドを楽しむことができます。

「Red Green Live Die」
ここでようやく開放された感じのアフロビート調のダイナミックな演奏です。アフロビート好きの人であれば気に入るであろうエキサイティングな演奏です。

「Dos Caras」
少しエクスペリメンタルな雰囲気で始まるアフロビート×エチオピアン・ジャズな仕上がり。なかなか格好良いクロスオーヴァーです。

「Power Struggle」
タイトル曲はクール&ダークなアフロ・ファンク。呪術的なベース&ギターが強調されているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=spl30yJJqpw

「No Friend Of Mine」
開放的で軽快なアフロビート。ファンク・バンドによる高速アフロビート・サウンドといった感じが格好良いです。

「Epicoso」
タメの効いたグルーヴィーなアフロ・ファンク。このバンドのセンスの良さを感じる演奏です。

「Water Somewhere」
Dojo CutsのRoxie Rayをフィーチャー。アフロ・ファンクにRoxie Rayのソウルフル・ヴォーカルが加わったキャッチーな演奏で締め括ってくれます。

『The Liberators』(2011年)
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2022年09月14日

Adriana Godoy『Marco』

初秋に似合う女性MPB☆Adriana Godoy『Marco』

発表年:2010年
ez的ジャンル:女性MPB
気分は... :初秋の夜にMPB・・・

今日は女性MPBが聴きたい気分・・・
セレクトしたのはAdriana Godoy『Marco』(2010年)です。

Adriana Godoyは、コンポーザー/ピアニストAdylson Godoyを父に、歌手Silvia Mariaを母に持つブラジリアン女性シンガー。

本作『Marco』(2010年)は、『Todos Os Sentidos』(2003年)に続く2ndアルバムです。

本作に大きく貢献しているのがAdriana Godoy本人と共にプロデュースを手掛け、音楽ディレクター、アレンジャーも務めたDebora Gurgel

レコーディングにはDebora Gurgel(p)、Itamar Collaco(b)、Percio Sapia(ds)、Claudio Machado(b)、Christiano Rocha(ds)、Daniel D'Alcantara(flh)、Filo Machado(vo)、Andre Kurchal(per)、Dino Galvao Bueno(vo)、Elton Medeiros(vo)、Julio Cerezo Ortiz(cello)、Lea Freire(fl)、Conrado Goys(g)等のミュージシャンが参加しています。

このうちChristiano Rochaは共同プロデューサーとしてもクレジットされています。

また、父Adylson Godoyの楽曲を取り上げ、母Silvia Mariaも参加しています。

きっとMaria Ritaあたりがお好きな人であれば、気に入る1枚だと思います。Maria Rita大好きな僕にはかなりど真ん中でした。

Adriana Godoy自身の表現力のあるヴォーカルと、Debora Gurgelを中心としたバッキングが見事に噛み合っています。

落ち着いたオトナMPBをぜひどうぞ!

全曲紹介しときやす。

「Marco」
Rosa Passos/Sergio Natureza作。Debora Gurgelの素敵なピアノをバックに、Adrianaがリラックスしたヴォーカルを聴かせてくれるジャジー・メロウがオープニング。ジャズ・バーで聴きたい気分になる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=x-ipYbblqEY

「Abandono」
Rafael Alterio/Rita Alterio/Marcos Paiva作。Debora Gurgelのピアノ・トリオをバックにAdrianaが表現豊かなヴォーカルを聴かせてくれるモダンな哀愁サンバ。初期Maria Ritaあたりがお好きな人であれば気に入るであろう1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=AW0yVEXbVDw

「E Demais Sonhar Voce」
Adylson Godoy作。Debora Gurgelのピアノ・トリオをバックにAdrianaがしっとり歌い上げるジャジーなメロウ・バラード。Daniel D'Alcantaraのフリューゲルホルン・ソロも素敵です。
https://www.youtube.com/watch?v=jHyrQ-eI-Fo

「Deixa Comigo」
父Debora Gurgelの作品です。Filo MachadoとのAdrianaとの掛け合いスキャットで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VwVtVo0O5_s

「Mea Culpa」
Dino Galvao Bueno/Elton Medeiros作。しっとりとしたジャジー・ボッサ。作者のDino Galvao BuenoとElton Medeirosもヴォーカルで参加しています。サウダージ気分を満喫しましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=r4uNbFM9Rb8

「Outras noticias da Praca Central」
Debora Gurgel/To Brandileone/Vinicius Calderoni作。僕の一番のお気に入り。Adrianaのブラジル人女性シンガーらしい豊かな表現力にグッときます。ジワジワと感動が胸に込み上げてくるのがいいですね。Debora Gurgelの素晴らしいピアノとの一体感もサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=-zqGqpdWPRI

「Crescente Fertil」
Aldir Blanc/Ed Motta作。 オリジナルはMPBを代表する詩人Aldir Blancの『Aldir Blanc - 50 Anos』(1996年)に収録されたEd Mottaとの共作曲。Debora Gurgelのピアノ、Julio Cerezo Ortizのチェロをバックに、Adrianaが情感たっぷりに歌い上げます。Adrianaの歌世界に引き込まれます。
https://www.youtube.com/watch?v=IF2RrqigYPs

「Garrafas ao Mar」
Fatima Guedes作。ここではDebora Gurgelがエレピを弾いています。さり気ないですが瑞々しい気分になれる、心地好いメロウMPBに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=VavRZwIgkvc

「Vento Bravo」
Edu Lobo/Paulo Cesar Pinheiro作。Edu Loboのオリジナルは『Edu Lobo』(1973年)収録。母Silvia Mariaも父Adylson Godoyのアレンジでレコーディングした楽曲です。ここでは母Silvia Mariaも参加し、母娘共演を楽しめます。あた、Edu Lobo作品らしいアフロ・ブラジリアン・テイストを残しつつ、モダンな雰囲気で聴かせてくれる緩急をつけたアレンジも秀逸です。当ブログではStefania Dipierroのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=a85c0GxHo0o

「Risco」
Lea Freire/Joyce作。Joyceのオリジナルは当ブログでも紹介した『Gafieira Moderna』(2001年)収録。Debora Gurgelのエレピをバックに、オリジナル以上にメロウネスの効いた仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=fGID7Vy8988

「Cordilheira」
Djavan作品をカヴァー。Djavanのオリジナルは『Malasia』(1996年)収録。ピアノ・トリオらしいバッキングを従え、静から少しずつ動へと躍動していく感じがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=XoyXyx0Ifbc

「Talvez Humana」
Debora Gurgel/Dani Gurgel作。Debora Gurgelのピアノのみのバッキングで歌い上げるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=pY8x5aUsdC4

「Preta-Porter de Tafeta」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。「Outras noticias da Praca Central」と並ぶ僕のお気に入り。ラストはモダンなアレンジで軽快に疾走します。Adrianaのリズミックな語り口はさすがブラジル人アーティストですね。Conrado Goysのギターも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=VuJHZjY5mbI

やはり心を整えたいときにはブラジル音楽が一番ですね!
posted by ez at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする