2023年12月17日

KNOWER『Knower Forever』

7年ぶりに待望の新作☆KNOWER『Knower Forever』

発表年:2023年
ez的ジャンル:奇才ポップ・デュオ
気分は... :休止前に紹介できてよかった!

2023年12月30日でブログを休止します。詳しくはこちら

休止まで残り6エントリーくらいです。

新作からLouis ColeGenevieve Artadiの超絶ポップ男女デュオKNOWERの最新アルバム『Knower Forever』です。

これまで『Time』(2018年)、『Quality Over Opinion』(2022年)といったLouis Coleのソロ・アルバムは紹介してきましたが、KNOWERのアルバム紹介は初めてです。

これまで『Louis Cole and Genevieve Artadi』(2010年)、『Think Thoughts』(2011年)、『Let Go』(2013年) 『Life』(2016年)といったオリジナル・アルバムをリリースしてきたKNOWER

しかし、2018年のツアー後にKNOWERとしての活動を一時休止し、それぞれソロ・アーティストとしての活動が目立つようになりました。

Louis Coleのソロ活動が目立ったかもしれませんが、Genevieve Artadiも方もFlying Lotus主宰のBrainfeederから『Dizzy Strange Summer』(2020年)、『Forever Forever』(2023年)といったソロ・アルバムをリリースしています。また、私生活のパートナーであるブラジル人ギタリストPedro MartinsとのユニットExpensive Magnetsとしても作品をリリースしています。

当ブログで紹介した作品を振り返っても、Genevieve Artadiは以下の作品にフィーチャリングされています。

 Thundercat『Drunk』(2017年)
 Antonio Loureiro『Livre』(2018年)
 Aphrotek『Stories』(2018年)
 Frederico Heliodoro『The Weight Of The News』(2023年)

上記の4作品だけを眺めてみても、彼女がジャンルレスのミュージシャンであることが窺えます。

このような感じで各人の活動が活発化してきたため、「もうKNOWERとしての作品はリリースされないのか」なんて思っていたところに、新作リリースの吉報が飛び込んできました。ブログ休止前にこの奇才デュオの新作を紹介できるはラッキーです。

今年リリースされたGenevieve Artadiの最新作タイトルが『Forever Forever』、今回紹介するKNOWERの最新作タイトルが『Knower Forever』ということで、『Forever Forever』の制作がKNOWER新作のきっかけになったのかもしれませんね。

DAWソフトを用いたエレクトロ・ポップ・デュオというイメージが強かったKNOWERですが、本作はLouis Coleの自宅でのバンド演奏によるレコーディングが中心です。その意味でエレクトロ・ポップ・デュオの“エレクトロ”部分は外すべきかもしれません。

プロデュースはLouis Cole
楽曲も二人のオリジナルです。

レコーディングにはLouis Cole(ds、p、key)、Genevieve Artadi(vo)以外に、David Binney(sax)、Chiquita Magic(Isis Giraldo)(key)、MonoNeon(b)、Paul Cornish(key、p)、Louis Coleとグラインドコア・ユニットClown Coreを組むSam Gendel(sax)、L.A.を拠点にするミニマル・ファンク・バンドVulfpeckのメンバーJacob Mann(key)、Rai Thistlethwayte(key)、Sam Wilkes (b)、Adam Ratner(g)といったミュージシャンが参加しています。

また、18人編成のストリングス、11人編成のブラス・セクション、17人編成のコーラス隊も参加しています。

自宅レコーディングによるバンド演奏の臨場感と確信犯的なチープさを織り交ぜた奇才Louis Coleならではポップ・センス全開の1枚に仕上がっています。また、そのサウンドをバックにしたGenevieveのキュートで少し儚いヴォーカルがアルバム全体のポップ度をマシマシにしてくれます。

ブログ休止前に紹介できて良かった!
そう思わせてくれる快作です。

全曲紹介しときやす。

「Knower Forever」
Louis Cole作。タイトル曲はストリングスとブラスのみの演奏によるインスト。アルバムのエレガントなプレリュードといった感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=V1-TDhT-TWI

「I'm The President」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。♪私は大統領よ♪とアメリカ大統領選を皮肉ったKNOWERらしいセンスのポップ・チューン。自宅レコーディングならではのB級感サウンドにストリングス、ブラス・セクション、コーラス隊が加わり、独自のポップ・ワールドが広がります。
https://www.youtube.com/watch?v=tuhe1CpHRxY

「The Abyss」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。生演奏ならではの臨場感と生演奏らしからぬミニマル感が絶妙にブレンドされたLouis Coleのポップ・センスが全開の仕上がり。Genevieveのヴォーカルにはヒネりの効いたポップ・サウンドがよく似合います。
https://www.youtube.com/watch?v=O2F0oTqfL3E

「Real Nice Moment」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。Genevieveのキュートな魅力が映えるドリーミーなメロウ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=ls17vqcH-Xw

「It's All Nothing Until It's Everything」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。エクスペリメンタルな演奏ですが、それをポップに仕上げてしまうのがKNOWERらしいですね。終盤のJacob Mann(Vulfpeck)のピアノ・ソロも印象的です。ラストは美しいストリングスで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=kJG-Ed--SyA

「Nightmare」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。Louis ColeとMonoNeonのリズム隊が牽引するキャッチーなポップ・ダンス・チューン。Genevieveのキュートで少し儚いヴォーカルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=ERCkf0j8pPM

「Same Smile, Different Face」
Louis Cole作。Louis ColeのピアノとストリングスをバックにGenevieveが歌うビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=rM10_mNZmSs

「Do Hot Girls Like Chords」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。Adam Ratnerのパワフルなギターと共にロッキン・モードでスタートしますが、演奏全体としてはドライブ感のある格好良いダンサブルなポップ・ロック・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ois3gfcwKSA

「Ride That Dolphin」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。Louis Coleのマニアックなポップ趣味をKNOWER流に昇華させた1曲。新しいのに懐かしい!
https://www.youtube.com/watch?v=ruUYgQxJsCI

「It Will Get Real」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。ポップ&キュートに疾走するダンサブル・チューン。ポップでダンサブルなのに、Genevieveのヴォーカルも含めて、何処となく寂しげで儚い感じがするのがKNOWERの魅力かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=P3zV7redc-o

「Crash The Car」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。これまでのKNOWERの歩みや今作に込めた思いのようなものが伝わってくる歌詞をGenevieveがしみじみと歌い上げるビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=GZlVT8gPGEs

「Bonus Track」
Louis Cole作。まさにボーナス・トラックなお遊び的な短いインスト。

KNOWERの他作品やLouis Coleのアルバムもチェックを!

KNOWER『Let Go』(2013年)
Let Go +10

KNOWER『Covers』(2014年)
Covers

KNOWER『Life』(2016年)
Life

Louis Cole『Album 2』(2013年)
アルバム 2

Louis Cole『Time』(2018年)
Time [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC575)

Louis Cole『Quality Over Opinion』(2022年)
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2023年12月15日

『当ブログの18年を振り返る〜年代・ジャンルの壁を越えて(1)』

2023年12月30日でブログを休止します。詳しくはこちら

休止まで残り7エントリーくらいです。

2005年9月のブログ開設以来、当ブログで大切にしてきたのは年代・ジャンルの壁をつくらないことでした。

18年を振り返る意味で、60年代〜2020年代の各カテゴリーの過去記事から4曲(2020年代のみ2曲)をセレクトしたいと思います。

60年代カテゴリー

Ann Burton「A Lovely Way to Spend an Evening」
https://www.youtube.com/watch?v=XjON2RYZJbQ
From 『Ballads & Burton』(1969年)


The Latin Blues Band「(I'll Be A) Happy Man」
https://www.youtube.com/watch?v=3rDadq5pw8c
From 『Take A Trip Pussycat』(1968年)
Take a Trip Pussycat

The Cowsills「The Rain, The Park and Other Things」
https://www.youtube.com/watch?v=uC9tALmALh0
From 『The Cowsills』(1967年)
The Cowsills

The Jimi Hendrix「Ain't No Telling」
https://www.youtube.com/watch?v=JBRO7W50PUo
From Experience『Axis: Bold As Love』(1967年)


70年代カテゴリー

Grant Green「Sookie, Sookie」
https://www.youtube.com/watch?v=u3zAq_HSifY
From 『Alive!』(1970年)
アライヴ

Birgit Lystager「Vores Eget Lille Sted (Pretty World)」
https://www.youtube.com/watch?v=vw8E3xlJsy4
From 『Birgit Lystager』(1970年)
ビアギッテ・ルゥストゥエア

Gino Cunico「Fanny (Be Tender With My Love) 」
https://www.youtube.com/watch?v=zGXxWmuf2eE
From 『Gino Cunico』(1976年)
ジノ・クニコ(生産限定紙ジャケット仕様)

Greg Perry「I'll Always Be In Love With Love」
https://www.youtube.com/watch?v=fEakXX9i6Nc
From 『Smokin'』(1977年)
Smokin

80年代カテゴリー

Kofi「Black Pride」
https://www.youtube.com/watch?v=oOAJwLIMSB8
From 『Black...with Sugar』(1989年)
ブラック...ウィズ・シュガー(紙ジャケット仕様)

Talking Heads「Great Curve」
https://www.youtube.com/watch?v=3N5qQrGSuJ4
From 『Remain in Light』(1980年)


Adeva「Respect」
https://www.youtube.com/watch?v=mmh_ljJ3h6U
From 『Adeva!』(1989年)


Cameo「Promiscuous」
https://www.youtube.com/watch?v=p0po-2MEWH8
From 『Machismo』(1988年)


90年代カテゴリー

Dinosaur Jr.「Start Choppin」
https://www.youtube.com/watch?v=Z_-JapMQUPQ
From 『Where You Been』(1993年)


Black Star「Definition」
https://www.youtube.com/watch?v=uwXqXxDtFYg
From 『Mos Def & Talib Kweli are Black Star』(1998年)


Mica Paris「More Love」
https://www.youtube.com/watch?v=rAvHNVntewM
From 『Contribution』(1990年)
mica paris contribution.png

Balanco「More(Theme from "Mondo Cane") 」
https://www.youtube.com/watch?v=74xLx_dI3Ro
From 『More』(1999年)
More

2000年代カテゴリー

Jeff Hendrick「Old School Party」
https://www.youtube.com/watch?v=HuuVIS-gGVU
From 『Soul Celebration』(2005年)
Soul Celebration

The Roots「Here I Come」
https://www.youtube.com/watch?v=datyF2rpvoE
From 『Game Theory』(2006年)
Game Theory

The Sea and Cake「Midtown」
https://www.youtube.com/watch?v=bbF-Vi9bpuk
From 『Oui』(2000年)


The Juju Orchestra「What Is Hip?」
https://www.youtube.com/watch?v=KlPlTa1rr38
From 『Bossa Nova Is Not A Crime』(2007年)


2010年代カテゴリー

J.Lamotta Suzume「If You Wanna」
https://www.youtube.com/watch?v=VQu9vPC1GT4
From 『Suzume』(2019年)
すずめ

The Gramophone Allstars Big Band「I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free」
https://www.youtube.com/watch?v=ACvte7bPJZg
From 『Maraca Soul』(2019年)
マラカ・ソウル

Los Stellarians「I Can't Understand You」
https://www.youtube.com/watch?v=7K77wgTJAJM
From 『Los Stellarians』(2016年)
Los Stellarians

Sons Of Kemet「My Queen is Harriet Tubman」
https://www.youtube.com/watch?v=twjaSC5Ym9s
From 『Your Queen Is A Reptile』(2018年)
Your Queen Is A Reptile

2020年代カテゴリー

Leonardo Marques「Tall, Tan and Young」
https://www.youtube.com/watch?v=rvSj3XiZI0E
From 『Flea Market Music』(2022年)


Loraine James「Insecure Behaviour And Fuckery」
https://www.youtube.com/watch?v=-cHuyArT3Dw
From 『Reflection』(2021年)
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2023年12月13日

Ed Motta『Behind The Tea Chronicles』

ブラジリアンAORの人気アーティスト5年ぶりの新作☆Ed Motta『Behind The Tea Chronicles』

発表年:2023年
ez的ジャンル:ブラジリアンAOR系男性シンガー
気分は... :休止まで残り8エントリーくらい

2023年12月30日でブログを休止します。詳しくはこちら

毎週日曜恒例の新作紹介のみでは紹介しきれない新作が出てきそうなので、水曜ですが新作を紹介します。

新作ブラジルものからEd Motta『Criterion Of The Senses』です。

ブラジルNo.1ソウル・シンガーTim Maiaの甥であり、1971年リオ・デ・ジャネイロ生まれの巨漢男性シンガー・ソングライターEd Mottaについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『AOR』(2013年)
 『Perpetual Gateways』(2016年)
 『Criterion Of The Senses』(2018年)

『AOR』で、タイトル通り、AORフリークぶりを発揮し、AOR人気の高い日本で大絶賛されたEd Motta

それ以降の『Perpetual Gateways』(2016年)、『Criterion Of The Senses』(2018年)もAOR路線で好評を得ました。

最新作『Criterion Of The Senses』はAORは勿論のこと、彼の好きな音楽、好きな映画、好きなTVシリーズなどの要素をすべて詰め込んだ、好きなものづくしのアルバムに仕上がっています。

プロデュース/ソングライティング/アレンジはEd Motta自身。

Michel Limmaが音楽ディレクターとしてクレジットされています。

さらにホーン・セクションはデトロイト、バック・コーラスはL.A.、ストリングスはチェコで録音したもの。デトロイトとL.A.のレコーディングは『Perpetual Gateways』(2016年)をプロデュースしたKamau Kenyattaがディレクションを務めています。

レコーディングにはMichel Limma(el-p、p、clavinet)、Sergio Melo(ds)、Tutty Moreno(ds)、Alberto Continentino(b)、Joao Oliveira(g)、Thiago Arruda(g)、Agustin Rios(congas)、Otavio Rocha(dobro)、Frank Colon(tabla)、Tiago Calderano(vibe)、Kris Johnson(tp)、Rafael Leafar(as)、Marcus Elliot(ts、clarinet)、Vince Chandler(tb)、Aldivas Ayres(tb)、Jesse Sadoc(tb)、Rafael Rocha(tb)、Kaleigh Wilder(b clarinet、bs)、Leandro Dantas(b clarinet)、Marcelo Martins(fl)、Cristina Braga(harp)等のミュージシャンが参加しています。

また、人気シンガーJames Ingramの弟であり、ソウル/ファンク・グループSwitchやブラコン/エレクトリック・ファンク・デュオDecoの元メンバーであったPhillip IngramRufusの初代ヴォーカリスト(二代目がChaka Khan)であったPaulette McWilliams等がバック・ヴォーカルで参加しています。

やはりEd Mottaといえば、Steely Dan/Donald Fagen風のトラックを期待してしまいますよね。

そういった期待に応えてくれるのは「Slumberland」「Safely Far」「Gaslighting Nancy」「Quatermass Has Told Us」「Shot in the Park」といったトラックです。

それ以外にBlue Thumb風の「Newsroom Customers」、ブラジリアン・テイストの「Deluxe Refuge」、従来のEd Mottaのイメージを覆すアーシーな「Buddy Longway」あたりも個人的にはオススメです。

Ed Mottaの音楽に留まらないマニアぶりに思わずニンマリする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Newsroom Customers」
映画『Sweet Smell of Success(邦題:成功の甘き香り)』(1957年)にインスパイアされたオープニング。映画はBurt Lancaster演じるブロードウェイに大きな勢力をもつジャーナリストとTony Curtis演じるブロードウェイのプレス・エージェントを主人公に、ブロードウェイの暗黒面を描いたものです。Ed本人曰くBlue Thumb風サウンドということらしいです。なるほど流麗なストリングスとアーバンなジャズ・ファンクの組み合わせはBlue Thumbの香りを感じさせます。

「Slumberland」
タイトルは有名なコミック『Little Nemo in Slumberland(邦題:夢の国のリトル・ニモ)』に因んだもの。昨年Netflixでも同作を原作とした映画『Slumberland』が配信されましたね。EdのSteely Dan趣味とドリーミーなポップ・センスが融合したポップ・ソウル的な仕上がり。EdのヴォーカルもDonald Fagen感たっぷりです。
https://www.youtube.com/watch?v=zZX5Xas97SE

「Safely Far」
Ed本人曰くNorman Connors風の仕上がりらしいです。AOR/シティ・ポップ好きの人は気に入るであろうアーバン・メロウ・グルーヴ。こういうサウンドをバックにするとDonald Fagenを思わせるEdのヴォーカルが映えますね。
https://www.youtube.com/watch?v=FNlLLQhkfpA

「Gaslighting Nancy」
Ed本人曰く「アルバムで最もSteely DanとAORから影響を受けた曲」なのだとか。さらにAntonio Carlos Jobimらボサノヴァの影響もあるそうです。個人的には後期The Doobie Brothersの香りも感じます。いずれにしてもAOR好きの人であれば楽しめるアーバン・メロウ・グルーヴです。

「Of Good Strain」
ブロードウェイ・ミュージカルから影響を受けたワルツ調の仕上がり。ノスタルジックな雰囲気は悪くありませんが、オープニングからの流れが一度リセットされてしまう気も・・・

「Quatermass Has Told Us」
タイトルにある「Quatermass」とは1953年にイギリスBBCで放送されたSF連続ドラマ『The Quatermass Experiment』に因んだもの。
前半はSteely Dan/Donald Fagen風ですが、後半はJoao Oliveiraのギター・ソロ、素晴らしいホーン・アンサンブルなどダイナミックなサウンドで盛り上げてくれます。

「Buddy Longway」
従来のEd Mottaのイメージを覆すアーシーな演奏。ブラジルのブルース・バンドBlues EtílicosのメンバーOtavio Rochaがドブロをプレイしています。

「Shot in the Park」
これはDonald Fagen『The Nightfly』へのオマージュって感じですね。詳しくない人に『The Nightfly』収録曲と紹介してもバレないかも(笑)。『The Nightfly』好きの人は思わずニンマリするはず!

「Deluxe Refuge」
ブラジリアン・テイストのファンキー・メロウ。当ブログでも紹介したブラジル人コンポーザー/マルチプレイヤーMoacir Santosを意識したトラックだそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=VNLbBiuDVgo

「Tolerance on High Street」
スタンダード風のノスタルジック&エレガントな仕上がり。Ed本人曰くフィルム・ノワール風の仕上がりらしいです。

「Confrere's Exile」
CDボーナス・トラック。哀愁バラードをピアノ弾き語りで歌い上げます。

ご興味がある方はEd Mottaの他作品もチェックを!

『Manual Prático Para Festas, Bailes e Afins Vol.1』(1997年)
パーティ・マニュアル(1)

『As Segundas Intenções do Manual Prático....』(2000年)
As Segundas Intencoes Do Manue

『Dwitza』(2002年)
Dwitza

『Poptical 』(2003年)
ポップティカル

『Aystelum』(2005年)
Aystelum

『Chapter 9』(2008年)
Chapter 9

『Piquenique』(2009年)
Piquenique

『AOR』(2013年)
AOR

『Perpetual Gateways』(2016年)
Perpetual Gateways

『Criterion Of The Senses』(2018年)
クライテリオン・オブ・ザ・センシズ
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2023年12月10日

Sofia Kourtesis『Madres』

ペルー出身のDJ/プロデューサーのデビュー・アルバム☆Sofia Kourtesis『Madres』
sofia kourtesis madres.jpg
発表年:2023年
ez的ジャンル:ペルー×ベルリン産エレクトリック・ミュージック
気分は... :ラテンの心とドイツのモーター

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休止までは、なるべく通常モードで投稿したく思います。

新作からペルー出身で現在はベルリン在住のDJ/プロデューサーSofia Kourtesisのデビュー・アルバム『Madres』です。

人気レーベルNinja Tuneからのリリースです。

プロデュースはSofia Kourtesis自身とDavid Krasemann

ソングライティングも1曲を除きSofia Kourtesisのオリジナルです。

彼女自身が自身を「ラテンの心とドイツのモーター」と評しており、基本的にはベルリン産のハウス/エレクトリック・ミュージックに、南米の民俗音楽のテイストを散りばめた音世界が展開されます。当ブログでもこれまであまり紹介してこなかったタイプの音かもしれません。

南米の古代文明を近未来に蘇らせたような幻想的、神秘的な雰囲気に包まれているのがいいですね。

独自の民族トロピカル・ベースで知られるClap! Clap!あたりがお好きな人も気に入るのではないかと思います。

ブログ休止まで新作紹介も数えるほどしかできませんが、そうした状況でこうした攻めた1枚をセレクトするのも当ブログらしいかもしれませんね(笑)

全曲紹介しときやす。

「Madres」
シングルにもなったタイトル曲がオープニング。桃源郷をイメージさせるエスニックなドリーミー感とダンス・サウンドがよくマッチしています。行ったことのない夢の世界へ誘ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=bPGct0yRPM8

「Si Te Portas Bonito」
この曲はDavid Krasemann の代わりにThomas Stephensがプロデューサーでクレジットされています。アンダーグラウンドならではのエレクトリックなダンス・ミュージックに、古代文明をイメージさせる南米ならではのミステリアス・ムードが加わっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Uj1m7s6TRNk

「Vajkoczy」
Chantal Saroldiのヴォーカルをフィーチャー。覚醒感のあるハウス・サウンドが展開されますが、(ペルー的なエッセンスなのか分かりませんが)少し祝祭的なムードがあるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=n-_tUm05CDI

「How Music Makes You Feel Better」
Chantal Saroldiのヴォーカルをフィーチャー。幻想的なエレクトリック・サウンドが夢の中へと誘います。聴く者をベターにしてくれるエレクトリック・ワールドです。
https://www.youtube.com/watch?v=s-7lRutghlQ

「Habla Con Ella」
本来ならばクールなハウス・チューンのはずが、何処となく神秘的な温もりを感じるところが魅力です。聴いているうちに、自分がサウンドにシンクロしてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=LFtCnCjE9Us

「Funkhaus」
アンビエント感覚のダンサブル・チューン。途中に少しダークなアクセントを加えることで全体が絶妙のバランスに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=hFXwMJfBTzI

「Moving Houses」
ビートレスのエクスペリメンタルなトラック。彼女が単なるダンス・ミュージックのアーティストではないことが分かります。
https://www.youtube.com/watch?v=L3XpYjWEzsU

「Estación Esperanza」
スパニッシュ系フランス人男性シンガーManu Chaoのカヴァー。オリジナルは『...Próxima estación... Esperanza』(2001年)収録。エスニック感覚たっぷりのエレクトリック・サウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=E4LNA-JZQeo

「Cecilia」
南米の民俗音楽のエッセンスを散りばめたダンス・チューン。架空の古代文明をイメージしてしまうあたりはClap! Clap!に通じるものがあるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=qPsw7eHvg0M

「El Carmen」
Miguel Ballumbrosioのヴォーカルをフィーチャー。このトラックもClap! Clap!あたりと一緒に聴くとフィットするかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZKE5jFApJMU

昨晩はNHK BSでキャンディーズ特集でした。

キャンディーズこそが現在まで続くアイドル・グループのプロトタイプであり、アイドルの域を超えたヴォーカル・グループであることを改めて実感できました。

また、最高のまま解散した彼女たちの潔さ、ブログ休止を決めた今の僕に響くものがありました。
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2023年12月09日

『お知らせ:12月30日でブログを休止します』

以前の投稿のように、年内でブログに区切りをつけるか、継続させるか悩んできましたが、12月30日でブログを休止することを決めました。

それまではこれまで通り週3回程度のエントリーは続けます。新作もあと3〜4枚は紹介したいと思っています。12月30日のラストは恒例の「ezが選ぶ2023年の10枚」で締め括る予定です。

以前にも述べましたが、休止のきっかけはアマゾンの画像リンク作成機能が廃止され、既存の画像リンクも12月31日以降表示されなくなったことです。

ただし、それはあくまできっかけであって、5,000回目の記事投稿を達成した時点で「やりきった」感があり、どこかでブログに区切りをつけるタイミングを模索していたのかもしれません。

2005年9月にブログを開設してから約18年、前回までの投稿数が5,446回。
「新旧、ジャンル問わずお気に入りCDを紹介する」という当ブログのコンセプトは十分体現できたし、閲覧してくださる皆様にも伝わったのではないかなと思っています。

数日前に敬愛する日本のロッカー、チバユウスケ氏がお亡くなりになったことを知りました。謹んでお悔やみ申し上げます。

この訃報を知ったことも、間接的にブログ休止を決断させました。

当ブログではJ-POPを取り上げることはありませんでしたが、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTROSSOはよく聴いていたので、チバ氏の死はかなりショックでした。僕よりも3歳若かったので、「まだ逝くには早いだろ」と言いたくなります。

僕の中ではTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTROSSOのイメージが強かったチバ氏ですが、彼のキャリア全体でみればROSSO活動休止後に結成したThe Birthdayでの活動期間(2006-2023年)が圧倒的に長いんですよね。

ここ数日、The BirthdayのMVを繰り返し閲覧していますが、デビュー・シングル「Stupid」における若々しくヤンチャな佇まいのチバ氏と、昨年大ヒットした映画『THE FIRST SLAM DUNK』のオープニング主題歌として話題になった「LOVE ROCKETS」における白髪交じりでちょい悪オヤジ風のチバ氏を比べると時の流れを感じてしまいました。

The Birthday「Stupid」(2006年)
https://www.youtube.com/watch?v=oyq-pZ5WH30

The Birthday「LOVE ROCKETS」(2022年)
https://www.youtube.com/watch?v=EEWVJ4RZ4Xg

よく考えると、そんな時の流れを感じるThe Birthdayの活動期間よりも、当ブログの開設期間の方が長いんですよね。それを踏まえると「もう十分じゃないか。Mission complete」という思いが強まってきました。

ただし、休止後に心境の変化が起こる可能性もあるので「終了」ではなく「休止」ということにしておきます。

12月30日まではきちんと投稿を続けたいと思いますので、よろしくお願い致します。
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