2021年09月12日

Becca Stevens & The Secret Trio『Becca Stevens & The Secret Trio』

中東/トルコ音楽との融合☆Becca Stevens & The Secret Trio『Becca Stevens & The Secret Trio』

発表年:2021年
ez的ジャンル:ハイブリッド女性SSW×中東/トルコ音楽
気分は... :こういう進化もあったか!

一昨日の投稿でブログの大きな方針転換を宣言しましたが、日曜の新作紹介はできる限り継続するつもりです。

注目の女性シンガー・ソングライターBecca Stevensの最新作Becca Stevens & The Secret Trio『Becca Stevens & The Secret Trio』です。

ノースカロライナ出身、N.Y.のニュースクール大学でジャズ・ヴォーカルを専攻した女性シンガー・ソングライターBecca Stevensについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の5枚。

 Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
 Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)
 Tillery『Tillery』(2016年)
 『Regina』(2017年)
 『Wonderbloom』(2020年)

本作『Becca Stevens & The Secret Trio』は、タイトルの通り、Becca StevensThe Secret Trioと共演したアルバムです。

The Secret Trioは、アルメニア人のAra Dinkjian(oud)、マケドニア人のIsmail Lumanovski(clarinet)、トルコ人のTamer Pinarbasi(kanun)によるトリオ。

oud(ウード)kanun(カーヌーン)は、中東の古典音楽で使われる代表的な撥弦楽器です。ウード、カーヌーンに加えてナーイという無簧の笛を用いれば、アラブ古典音楽の編成になります。しかしながら、ナーイではなくクラリネットを用いた編成にし、バルカン・ジャズ的なエッセンスを融合させているところがThe Secret Trioの面白いところ、ジャズ的なところかもしれません。

The Secret Trioとして、これまで『Soundscapes』(2012年)、『Three Of Us』(2015年)という2枚のアルバムをリリースしています。また、3人はThe Secret Trio以外にもそれぞれ多様な演奏活動をしているトップ・ミュージシャンたちです。

今回の共演のきっかけは、2019年2月にUSマイアミで開催された、Snarky PuppyMichael League主催の音楽イベント。

同イベントに参加したThe Secret Trioのライヴを観たBeccaが感動し、彼らにラブコールを送ったことで実現したものです。

プログラミングやエレクトロニクスを駆使した楽曲やダンサブル・サウンドが印象的であった前作『Wonderbloom』(2020年)の方向性から180度方向転換した、美しい音色に魅せられるアコースティック回帰のフォーキー・ジャズ作品に仕上がっています。

プロデュースは今回の共演のきっかけをつくったMichael League

共同プロデュースはBecca StevensNic Hard

Becca Stevens(vo、g、charango、ukulele)とThe Secret Trio以外に、Michael League(moog b、back vo、g)、弦楽四重奏団Attacca Quartetのチェロ奏者であるNathan Schrame(back vo)がレコーディングに参加しています。

The Secret Trioならではの中東/トルコ音楽のエッセンスが、ハイブリッドなBeccaのジャズ・ワールドに新たな進化をもたらしています。あくまで静かなる進化ですが。

もっとも、中東/トルコ音楽のエッセンスなど気にせずとも、新感覚のフォーキー・ジャズとして楽しめるところが魅力だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Flow In My Tears」
Nahapet Kuchak/Becca Stevens/Michael League作。アルメニアの詩人Nahapet Kuchakの詩を用いています。揺らめきながら響く透明感のある弦の音色が心地好いです。聴いていると、体中の不純物が浄化されていくような気分になります。

「Bring It Back」
Nahapet Kuchak /Becca Stevens, Michael League作。この曲でもNahapet Kuchakの詩を用いています。Beccaらしい多重コーラスと中東的エッセンスが相俟って醸し出すミステリアス・ワールドがたまりません。

「We Were Wrong」
Becca Stevens/Michael League作。イントロが始まった途端、異世界に降り立った気分になるミステリアスな演奏です。Beccaの多重コーラスとThe Secret Trioの演奏がケミストリーを起こした素晴らしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CaML9CvP2JY

「California」
US男性シンガー・ソングライターPaul Curreriの作品をカヴァー。オリジナルは『California』(2009年)収録。Beccaのフォーキー・ワールドにThe Secret Trioならではの演奏が加わることで、さらに深遠なフォーキー・ワールドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=NaAAPR2uqF8 ※Live Performance Video

「Eleven Roses」
Ismail Lumanovski作。The Secret Trioの音世界にブルガリアン・ヴォイスのエッセンスを加味したハイブリッド・ワールド・ジャズ。ブルガリアン・ヴォイスは80年代後半から90年代前半のワールド・ミュージック・ブームのときに話題になりましたね。当時、僕もブルガリアン・ヴォイスのCDを購入して、その独特の女声合唱に魅せられていました。Beccaファンにとっては、Tillery的な雰囲気が加わった感じがします。作者Ismail Lumanovskiのクラリネットの味わいもいいですね。

「Lucian」
Tamer Pinarbasi/Becca Stevens/Michael League作。The Secret Trioならではの中東ジプシー・ジャズ・ワールドを満喫できるミステリアスな演奏です。

「Pathways」
Becca Stevens/Rainer Maria Rilke作。オーストリアの詩人Rainer Maria Rilke(1875-1926年)の詩を用いた1曲。本作らしい深遠なフォーキー・ジャズに仕上がっています。

「Maria」
Becca Stevens/Michael League作。美しいヴォーカル・ワークを活かした、このメンバーならではのハイブリッド・フォーキー・ジャズに仕上がっています。

「Lullaby For The Sun」
Ara Dinkjian作。中東フォーキーとでも呼びたるなるような音世界。太古の時代に誘ってくれるような雰囲気がいいですね。

「The Eye」
Nikola Madzirov/Becca Stevens/Michael League作。マケドニアの詩人Nikola Madzirovの詩を用いています。美しい音色と美しい歌声が織り成すピュアな雰囲気に癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=dCQCIeU-oNs

「For You The Night Is Still」
Jane Tyson Clement/Becca Stevens作。アメリカの女性詩人Jane Tyson Clement(1917–2000年)の詩を用いています。現在制作中のBeccaと弦楽四重奏団Attacca Quartetとのコラボ作品にも収録される模様です。そのAttacca Quartetのチェロ奏者であり、BeccaのパートナーでもあるNathan Schrameがバック・コーラスで参加。Beccaのフォーキー・ジャズの進化形といった雰囲気です。音のない間を生かした引き算ジャズなのがいいですね。

Becca Stevensの他作品もチェックを!

Becca Stevens Band『Tea Bye Sea』(2008年)
ティー・バイ・シー

Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
Weightless

Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)
パーフェクト・アニマル

Tillery『Tillery』(2016年)
ティレリー

Becca Stevens『Regina』(2017年)
レジーナ【日本先行発売】

David Crosby, Becca Stevens, Michelle Willis, Michael League『Here If You Listen』(2018年)
HERE IF YOU LISTEN

『Wonderbloom』(2020年)
ワンダーブルーム【日本先行発売/CD日本盤のみ/ボーナス・トラック収録】

Becca Stevens & Elan Mehler『Pallet on Your Floor』(2021年)
posted by ez at 01:39| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月10日

『17年目突入!大きな方針変更のお知らせ』

2005年9月7日に最初のエントリーをして以来、気づけば当ブログも16年目を終えて17年目に突入していました。

ブログ開設当初から殆ど投稿パターンを変えずに運営してきた当ブログですが、これを機に少しペースダウンしたく思います。

具体的には、以下のように方針変更するつもりです。

1.毎月のエントリー数の減少
従来の月25本前後から12〜15本位に減らしたく思います。
毎週の日曜の新作エントリーは今後も維持したく思います。

2.過去記事からのセレクション記事の増加
これまでも不定期に過去記事から10曲セレクトしたエントリーをしてきましたが、今後は週1本はこのパターンにしようと思います。

1については、現状の記事パターンの場合、1本仕上げるのに2時間程度はかかります。記事を書く行為自体は今でも楽しめているのですが、その一方でプライベートのかなりの時間を割いているのも事実です。

ここ数年は特に他に時間を割いて行いたいことがあり、その時間を確保できないことが少しフラストレーションとなっていました。その解決策として、音楽ブログへの投入時間を少しそちらに振り分けることにしました。

2については、これまでどうしても新たにエントリーする作品を聴く時間が多くなってしまい、一度エントリーしてしまった作品は聴く頻度が一気に減ってしまう傾向にありました。それって音楽作品を"消費"している状態であり、あまり好ましくないと以前から思っていました。

当ブログも5,000エントリーを超え、「その他」カテゴリーを除いても、4,800枚以上の作品を紹介していることになります。その4,800枚余りは、少なくとも僕が気に入った作品であり、それを一時的に消費するのではなく、長く愛聴していきたいと思っています。

その意味で、過去記事を振り返り、お気に入りの曲を再確認する作業は、自分にとっても大事だし、当ブログを閲覧してくださっている方ともシェアしたく思っています。

以上、方針変更のお知らせでした。
僕自身が楽しみながらブログを継続させるための1つの工夫として、当ブログ閲覧者の方々にもご理解いただけますと幸いです。

ということで、早速、過去記事から10曲セレクトしたいと思います。
今月は僕の誕生月です。そんなせいもあって、9月は比較的思い入れの強い作品が多く投稿されている気がします。そこで過去の9月投稿記事から10曲セレクトしてみました。

2007年09月19日投稿
Scritti Politti『Provision』(1988年)

「First Boy in This Town (Lovesick) 」
https://www.youtube.com/watch?v=_MG4sfCUQ5A

2008年09月20日投稿
Cassandra Wilson『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)

「Tupelo Honey」
https://www.youtube.com/watch?v=Py0LYQEAs4k

2009年09月26日投稿
Tuomo『My Thing』(2007年)

「Don't Take It Too Hard」
https://www.youtube.com/watch?v=Db07ELQJuDE

2010年09月13日投稿
Elis Regina『Essa Mulher』(1979年)

「O Bebado e a Equilibrista」
https://www.youtube.com/watch?v=1BWk5jxw9r0

2011年09月19日投稿
D'Angelo『D'angelo』(1971年)
D'Angelo
「Curto de Veu e Grinalda」
https://www.youtube.com/watch?v=98VCraipfbc

2012年09月23日投稿
Shareholder Tom『45 Minutes Out Of 25 Years』(2012年)
45 Minutes Out of 25 Y
「Into The Groove」
https://www.youtube.com/watch?v=HfOYurMQajk

2013年09月07日投稿
Balanco『Bossa & Balanco』(1997年)
Bossa & Balanco
「Metti Una Sera a Cena」
https://www.youtube.com/watch?v=ZiiUk_6uCa8

2014年09月26日投稿
The Voices Of East Harlem『Can You Feel It』(1974年)

「Rare So Rare」
https://www.youtube.com/watch?v=h5R-rSOcMUw

2015年09月14日投稿
The Royalettes『It's Gona Take A Miracle』(1965年)
It's Gonna Take a Miracle
「It's Gonna Take a Miracle」
https://www.youtube.com/watch?v=G7Mxtdg752Q

2016年09月07日投稿
Truce『Nothin' But The Truce』(1995年)
Nothin' But The Truce
「Treat U Right」
https://www.youtube.com/watch?v=xynM8WEIMKM
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2021年09月09日

Eric Roberson『Music Fan First』

いつも通りの安定感☆Eric Roberson『Music Fan First』
Music Fan First
発表年:2009年
ez的ジャンル:実力派男性R&Bシンガー/ソングライター
気分は... :安定・安心!

今回は実力派男性R&BシンガーEric Roberson『Music Fan First』(2009年)です。

1976年生まれ、ニュージャージー出身の男性R&Bシンガー/ソングライター/キーボード奏者であるEric Robersonについて、これまで当ブログで紹介したのか以下の4枚。

 『Esoteric...』(2004年)
 『The Appetizer』(2005年)
 『...Left』(2007年)
 Phonte & Eric Roberson『Tigallerro』(2016年)

時代の流行に惑わされることなく、良質なR&Bを届けてくれるEric Roberson
本作『Music Fan First』(2009年)も安定感のある1枚に仕上がっています。

メイン・プロデュースはBrett Baker
ソングライティング面でもEric Robersonとの共作で大きく貢献しています。

それ以外にEric Roberson自身、"J.R." HutsonLeroy Hutsonの息子)、Young RJSlum Village)、Curt ChambersDana SoreyJermaine MobleyOsunladeColin Emmanuelがプロデュースしています。

Minnie Riperton「Inside My Love」をサンプリングした「A Tale of Two」、僕好みのミディアム・バラード「Borrow You」Lalah Hathawayをフィーチャーした「Dealing」Slum Villageと共演した「Further」Aaron Abernathyらをフィーチャーしたソウル・チューン「Howard Girls」、ゲーム・ミュージック的エッセンスも感じられる「Bad For Me」、さり気ないバラード「Breakitdown」あたりが僕のおススメです。

安定感のあるEric Robersonワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「The Newness」
力強いビートをバックに、Eric Robersonらしい歌い回しを楽しめるミディアムがオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=86XP9TmM3yc

「The Hunger」
Wes Feltonをフィーチャー。Wes Feltonはブレイクビーツ・ジャズ・ファンク「Bee Bop Boogie」で知られる鍵盤奏者Hilton Feltonの息子です。The Great Fiction「Body Urge」をサンプリングしたトラックが印象的な哀愁R&Bグルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=vg6xuaUCwNM

「A Tale of Two」
Ben O'Neill/Michelle Thompsonをフィーチャー。Minnie Riperton「Inside My Love」をサンプリング。アーバンな哀愁モードにグッとくる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=aKl_iWCU_0s

「Borrow You」
僕の好きなEric Robersonに出会える1曲。さり気ないですが、ジワジワと胸に染み入るミディアム・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=2EQO88xe5gc

「Dealing」
Lalah Hathawayをフィーチャー。Leroy Hutsonの息子、"J.R." Hutsonのプロデュース。素敵なオトナR&Bバラードをデュエットで丁寧に歌い上げられます。
https://www.youtube.com/watch?v=lAMiOhScSPg

「Still」
真夜中に聴きたくなる哀愁チューン。思い出の断片が浮かんでは消えていく感じがいいですね。意外にリズミックな展開です。
https://www.youtube.com/watch?v=UTRMj5b_qiQ

「How Could She Do It」
僕好みのビートをバックに、Eric Robersonらしい歌い回しが重ねられていきます。派手さはありませんがいいです。
https://www.youtube.com/watch?v=dMxU1IAG1sM

「Further」
Slum VillageのT3をフィーチャー。さらに後にSlum VillageメンバーとなるYoung RJがプロデュースしています。Young RJのトラックとEric Robersonとの相性の良さを感じる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=BfD0f1ATwZA

「The Power That Kisses Hold」
生バンド感を打ち出したソウル・グルーヴ。Ben O'Neillのギター、Dana Soreyのオルガン、さらにホーン隊がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=fjdLlztFBLE

「Howard Girls」
Aaron Abernathy/Brandon Hines/Geno Youngをフィーチャー。Eric Roberson/Curt Chambers/Dana Soreyプロデュース。当ブログでも紹介したリアル・ソウル・シンガーAaron Abernathyの参加に注目です。2009年仕様の素敵なソウル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=-_4ph-8eY7o

「Weekend Getaway」
Jermaine Mobleyプロデュース。丁寧に歌い上げるバラード。音空間の間を楽しみながらジワジワくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=IZg3I1fH0Po

「She」
Osunladeプロデュース。シンプルなバッキングの哀愁チューン。何とも切ない気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=HXyD0NkFmXk

「Wanna Believe It Again」
Waynaをフィーチャー。Dana Soreyプロデュース。ハンドクラップ入りのビートを効かせつつ、Eric Robersonらしい歌い回しが映えるミディアム・グルーヴ。キュートなWaynaの女性ヴォーカルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=GHKlPeSBN0g

「Bad For Me」
Colin Emmanuelプロデュース。ゲーム・ミュージック調のトラックながらも、Eric Robersonらしい曲調を楽しめる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=v6WpAV5IJ40

「Breakitdown」
Jermaine Mobleyプロデュース。さり気ないバラードですが、こういう曲だからこそEric Robersonの魅力が滲み出てきます。
https://www.youtube.com/watch?v=LvG713w1POY

「Pave A New Road」
Curt Chambersプロデュース。本編ラストは美しいR&Bバラードで締め括ってくれます。ゲーム音的なアクセントも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=KgVhKuSKnx8

「Celebrate」
CDボーナス・トラック。クロスオーヴァーな女性ソウル・シンガー Sy Smithをフィーチャー。この年に急逝したMichael Jacksonに捧げられたソウル・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=k6Muh9UEFmA

Eric Robersonの他作品もチェックを!

『Esoteric...』(2004年)
Esoteric

『The Vault, Vol. 1.5』(2004年)
Presents: The Vault 1.5

『The Appetizer』(2005年)
Appetizer by Eric Roberson (2005-12-21)

『...Left』(2007年)
レフト

『Music Fan First』(2009年)
Music Fan First

『Mister Nice Guy』(2011年)
Mr. Nice Guy

『The Box』(2014年)
The Box

Phonte & Eric Roberson『Tigallerro』(2016年)
TIGALLERRO (ティガレロ) (直輸入盤帯付国内仕様)

『Fire』(2017年)
Fire

『Wind』(2017年)
Wind

『Earth』(2017年)
Earth
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2021年09月07日

Gal Costa『Baby Gal』

アーバン・メロウなGal Costa☆Gal Costa『Baby Gal』

発表年:1983年
ez的ジャンル:ミューズ系MPB
気分は... :花から花へ・・・

MPBの歌姫Gal Costa『Baby Gal』(1983年)です。

これまで当ブログで紹介したGal Costa作品は以下の11枚。

 『Gal Costa』(1969年)
 『Gal』(1969年)
 『India』(1973年)
 『Cantar』(1974年)
 『Gal Canta Caymmi』(1976年)
 『Gal Tropical』(1979年)
 『Aquarela Do Brasil』(1980年)
 『Fantasia』(1981年)
 『Minha Voz』(1982年)
 『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)
 『Gal(1992)』(1992年)

本作『Baby Gal』(1983年)は、この時期のGal Costaの充実ぶりが窺える1枚です。軽やかなシンセ/エレピが響くアーバン・メロウなトラックが多いのもいいですね。

プロデュースはMariozinho Rocha

Cesar Camargo MarianoEduardo Souto NetoRoupa Novaがアレンジを手掛けています。

メロウ・ダンサー「Sutis Diferencas」、コンテンポラリーなバイーア賛歌「Bahia De Todas As Contas」Djavanとの相性の良さを発揮した「Sim Ou Nao」「De Flor Em Flor」 、ラテン/カリビアン・テイストの開放的グルーヴ「Rumba Louca」、Ray Charles、Stevie WonderJose Felicianoに捧げられた「Olhos Do Coracao」 、Galの代表曲の再演「Baby」など充実の全10曲です。

MPBの歌姫Gal Costaらしい華のある1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Mil Perdoes」
Chico Buarque作。メロウ・バラードをGalがしっとり味わい深く歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=n_RhNkmhY10

Chico Buarque本人ヴァージョンは『Chico Buarque』(1984年)収録。
Chico Buarque「Mil Perdoes」
 https://www.youtube.com/watch?v=FFHQ8J53tvM

「Sutis Diferencas」
Caetano Veloso/Vinicius Cantuaria作。本作らしいアーバン・サウンドを楽しめるメロウ・ダンサー。AOR好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=9ymV36TTdR0

Vinicius Cantuaria本人のヴァージョンは『Sol Na Cara』(1996年)収録。
Vinicius Cantuaria「Sutis Diferencas」
 https://www.youtube.com/watch?v=7npvhhUuh-M

「Bahia De Todas As Contas」
Gilberto Gil作。邦題「バイーアの首飾り」。コンテンポラリーな雰囲気の中にもバイーアらしいリズム&コーラスを織り交ぜた1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=QEz5JTNmREU

The Manhattan Transferが英語でカヴァーしています。
The Manhattan Transfer「Hear The Voices」
 https://www.youtube.com/watch?v=CZ-Fn_04N4M

「Sim Ou Nao」
Djavan作品をカヴァー。Djavan作品のカヴァーは80年代Gal作品の定番ですね。Galの歌声とDjavan作品の相性の良さを感じるミディアム・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=nBz06uW6Tdg

Djavanのオリジナルは『Alumbramento』(1980年)に収録されています。
Djavan「Sim Ou Nao」
 https://www.youtube.com/watch?v=-Wm6mStGgWI

「Grande Final」
ブラジルの伝説的グループNovos Baianosの主要メンバーであったMoraes Moreiraの作品。Gal自身は本曲を"マルシャ・ポップ"と形容しているようです。開放的で軽快なサウンドと共にGalのヴォーカルも躍動します。
https://www.youtube.com/watch?v=x6GsPt-spyQ

「Rumba Louca」
Moacyr Albuquerque/Tavinho Paes作。ラテン/カリビアン・テイストの開放的グルーヴがいいですね。Galの華やかな雰囲気にピッタリの1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=68yIiRegNmU

Willie Colonも『Criollo』(1984年)でスペイン語カヴァーしています。
Willie Colon「Noche Criolla」
 https://www.youtube.com/watch?v=HDqRZqE6BKc

「Olhos Do Coracao」
Tunai/Sergio Natureza作。邦題「心の瞳」。Ray Charles、Stevie WonderJose Felicianoという3人の偉大な盲目アーティストに捧げられたブラジリアン・メロウ・ソウル調の仕上がり。途中、Jose Feliciano調のギターも聴こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=9PLGO2p6vU8

Tunaiのオリジナルは『Olhos Do Coracao』(1983年)に収録されています。
Tunai「Olhos Do Coracao」
 https://www.youtube.com/watch?v=RGuOioL-7_4

「De Flor Em Flor」
Djavan作品の2曲目。邦題「花から花へ」。透明感のあるアコースティック・ギターの音色が心地好いメロウ・ボッサをGalらしい歌い回しで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=8dA4I9hi0ng

「Eternamente」
Lillane/Tunai/Sergio Natureza作。邦題「永遠に」。美しいバラードを切々と歌い上げる感動的な仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=AuqPTWoNjjs

「Baby」
ラストはCaetano Velosoの名曲の再レコーディング。Galはトロピカリズモの金字塔アルバム『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』(1968年)と自身のアルバム『Gal Costa』(1969年)で本曲を歌っています。ここでは本作らしいアーバン・メロウなAOR調の「Baby」を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Z27tUuoJ4Cg

「Baby」 (From 『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』
 https://www.youtube.com/watch?v=vLJIM9NjRwc
「Baby」 (From 『Gal Costa』
 https://www.youtube.com/watch?v=b7d6wnaRm2E

名曲「Baby」に関して、当ブログではOs Mutantesの2ヴァージョン(『Os Mutantes』収録ヴァージョン、Os Mutantes『Jardim Eletrico』収録ヴァージョン)とCaetanoの妹Maria Bethaniaヴァージョンも紹介済みです。

Gal Costaの過去記事もご参照下さい。

『Gal Costa』(1969年)
Gal Costa

『Gal』(1969年)
Gal

『India』(1973年)
インディア

『Cantar』(1974年)
カンタール

『Gal Canta Caymmi』(1976年)
Gal Canta Caymmi

『Gal Tropical』(1979年)
Gal Tropical by Gal Costa (2010-09-24)

『Aquarela Do Brasil』(1980年)
Aquarela Do Brazil

『Fantasia』(1981年)
Fantasia

『Minha Voz』(1982年)
Minha Voz

『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)
Lua De Mel Como O Diabo Gosta

『Gal(1992)』(1992年)
gal costa gal 1992.jpg
posted by ez at 02:26| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月06日

The Rolling Stones『Some Girls』

大ヒット「Miss You」収録☆The Rolling Stones『Some Girls』

発表年:1978年
ez的ジャンル:中期Stones
気分は... :Charlieよ、安らかに・・・

先月24日に逝去したCharlie Watts(1941-2021年)を偲んで、The Rolling Stonesを取り上げたいと思います。

セレクトしたのは『Some Girls』(1978年)です。

これまで本ブログで紹介してきたThe Rolling Stones作品は以下の11枚(発売年順)。

 『12 X 5』(1965年)
 『The Rolling Stones, Now!』(1965年)
 『December's Children (And Everybody's)』(1965年)
 『Aftermath』(1966年)
 『Between the Buttons』(1967年)
 『Beggars Banquet』(1968年)
 『Let It Bleed』(1969年)
 『Sticky Fingers』(1971年)
 『Exile on Main St.』(1972年)
 『Black And Blue』(1976年)
 『Emotional Rescue』(1980年)

僕が初めてリアルタイムで聴いたStonesの新作は『Emotional Rescue』(1980年)でしたが、その直前に初めてアルバム単位で聴いたStones作品が、友達から借りた『Some Girls』(1978年)のレコードでした。

当時中学生であった僕にとって、それまでは「(I Can't Get No) Satisfaction」「Jumpin' Jack Flash」といった60年代Stonesのイメージが強く、オープニングの「Miss You」を聴いたとき、"Stonesってこんな感じだっけ?"とかなり戸惑った印象があります。当時の僕はロック的な格好良さを求めていたので、ディスコ・ビートの「Miss You」に面食らったのでしょうね。

本作『Some Girls』(1978年)は『Black And Blue』(1976年)以来、ライヴ・アルバム『Love You Live』(1977年)を挟み、2年ぶりのスタジオ録音作となります。Ron Woodが正式メンバーとしてフル参加した初のスタジオ作にもなります。

ファンならばご存知の通り、当時のStonesはKeithのカナダ、トロントにおけるヘロイン不法所持による逮捕という大トラブルを抱え、グループ解散説も流れた状態でした。また、音楽的にもパンク/ニューウェイヴが台頭しはじめ、Stonesは旧世代ロックというレッテルを貼られ、苦しい状況でした。

そんな中で起死回生の1作としてリリースされたのが本作『Some Girls』(1978年)です。

アルバムはUSチャート第1位、UKチャート第2位の大ヒットとなり、Stonesの健在ぶりを示すことができました。

Mick Jagger(vo、g、p、per)、Keith Richards(g、vo、b、p)、Ron Wood(g、back vo、b、ds)、Charlie Watts(ds)、Bill Wyman(b、syn)というメンバー5人以外に、Ian McLagan(el-p、org)、Sugar Blue(harmonica)、Mel Collins (sax)、Simon Kirke(congas)が参加しています。

プロデュースはThe Glimmer Twins(Mick Jagger/Keith Richards)

The Temptationsのカヴァー「Just My Imagination (Running Away with Me)」以外は、Jagger/Richardsによるオリジナルです。

本作で目を引くのは、前述の「Miss You」におけるディスコ・ビートの導入と、「Lies」「Shattered」に代表されるパンク/ニューウェイヴを意識した演奏です。

一方で、Charlieの力強いビートが聴ける「When the Whip Comes Down」「Some Girls」などは、昔からのStonesファンが楽しめる演奏ですし、前述の「Just My Imagination (Running Away with Me)」、シングル・ヒットした「Beast of Burden」のようなソウル・チューンには成熟したStonesならではの魅力を感じます。

改めて聴くと、バンドの危機をバネにして、本来のStonesらしさを見つめ直しつつ、80年代への新スタイルを模索する興味深い1枚に仕上がっていると思います。

全曲紹介しときやす。

「Miss You」
アルバムからのリード・シングルとして、USチャート第1位、UKチャート第3位となった大ヒット・シングル。現状ではStones、最後のUSチャートNo.1シングル。前述のようにディスコ・ビートの導入が見事にハマりました。当時でいえば、Rod Stewart「Da Ya Think I'm Sexy?」と並ぶ、ロック・スターの大ヒット・ディスコ・チューンでした。正直、初めて聴いたころは大して好きではありませんでしたが、僕自身が黒人音楽をよく聴くようになってからは、一気に好きになりましたね。スタジオ前作『Black And Blue』からの流れで聴けば、同作オープニングを飾った「Hot Stuff」が「Miss You」へと繋がっている気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=PKVXSo9ROpg

当ブログでも紹介したMusiq SoulchildLeela Jamesヴァージョンをはじめ、Mirwais、The Dynamics、Etta James等がカヴァーしています。
Musiq Soulchild「Missyou」
 https://www.youtube.com/watch?v=0Is8MdtlCgE
Leela James「Miss You」
 https://www.youtube.com/watch?v=3lrtnmysr2U
Mirwais「Miss You」
 https://www.youtube.com/watch?v=VssSKwHaBPE
The Dynamics「Miss You」
 https://www.youtube.com/watch?v=bxhVj7LB61c
Etta James「Miss You」
 https://www.youtube.com/watch?v=F9-3meaGF-U

また、King Tee「Diss You」、Onyx feat. X-1「Broke Willies」、Snoop Dogg feat. Kokane「Y'all Gone Miss Me」、Daddy Freddy「Born Christian」、Seventy-Six of the Dark Myndz「Waiting So Long」、N2Deep「Deep N2 the Game」、Organiz'「Are U Ready (Miss You)」等のサンプリング・ソースとなっています。
King Tee「Diss You」
 https://www.youtube.com/watch?v=fRbfnI89Q7s
Onyx feat. X-1「Broke Willies」
 https://www.youtube.com/watch?v=zQYm1GMst_Q
Snoop Dogg feat. Kokane「Y'all Gone Miss Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=UVzBr9T36XE
Daddy Freddy「Born Christian」
 https://www.youtube.com/watch?v=aJFiRT7cJoc
Seventy-Six of the Dark Myndz「Waiting So Long」
 https://www.youtube.com/watch?v=FtZVNLTpQeg
N2Deep「Deep N2 the Game」
 https://www.youtube.com/watch?v=TWU3ZUJDQPs
Organiz'「Are U Ready (Miss You)」
 https://www.youtube.com/watch?v=bFA-RV5WA1A

「When the Whip Comes Down」
ロック・バンドとしてのStonesを聴きたいファンを安堵させてくれる、Stonesらしいロック・チューン。Charlieの力強いビートが演奏を牽引します。
https://www.youtube.com/watch?v=fwgGdfp-kc0

「Just My Imagination (Running Away with Me)」
The Temptations、1971年の大ヒット曲をカヴァー(Norman Whitfield/Barrett Strong作)。ソウル名曲を自分たちのオリジナルであるかのように聴かせてしまうのは、さすがStonesという気がしますね。ロック・バンドとしての成熟を感じるコクのある演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=_FDlZPOLn0M

「Some Girls」
タイトル曲はブラック・フィーリング溢れる演奏です。Sugar Blueのハーモニカが印象的ですね。ここでもCharlieのパワフルなビートを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=hKOr0yzZcro

「Lies」
スピーディーに直線的に疾走するロックン・ロール。パンク世代への対抗心を剥き出しにした演奏かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=XRTXx4NdodU

「Far Away Eyes」
ここからがオリジナルLPのB面。『Let It Bleed』(1969年)あたりに入っていてもおかしくないようなカントリー調の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=1n-2vgbk6w4

「Respectable」
軽快なロックン・ロールで駆け抜けます。パンク世代からの突き上げに対して、ロック・バンドとしての矜持を示したかのような演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=S0hl5WmTTPo

「Before They Make Me Run」
Keithがリード・ヴォーカルをとる、Keithファンにはたまらない1曲。Keithのヘロヘロなヴォーカルの味わいがサイコーです。勿論、Keithらしいギターも満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=KWqxFMUnskw

Steve Earle and Supersuckers、Great Lake Swimmers、Blue Jean Junkiesがカヴァーしています。
Steve Earle and Supersuckers「Before They Make Me Run」
 https://www.youtube.com/watch?v=BVbI8fv03ps
Great Lake Swimmers「Before They Make Me Run」
 https://www.youtube.com/watch?v=cReTaLCZHf4

「Beast of Burden」
アルバムからの2ndシングルとして、USチャート第8位のヒットとなりました。Curtis Mayfieldあたりに通じる雰囲気のミディアム・ソウル・チューン。こういうソウル・チューンで他のロック・バンドの追随を許さないのがStonesですね。
https://www.youtube.com/watch?v=RlV-ZFyVH3c

Bette Midler、Billy Valentine等がカヴァーしています。
Bette Midler「Beast of Burden」
 https://www.youtube.com/watch?v=zsqf-ORB37Q
Billy Valentine「Beast of Burden」
 https://www.youtube.com/watch?v=WUwrzeNNQfI

「Shattered」
ラストは、次作『Emotional Rescue』(1980年)を予感させるニューウェイヴ調の演奏で締め括ってくれます。昔は大していい演奏だと思いませんでしたが、今はこのニューウェイヴなStonesが大好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=3_Y5J0ka4_k

Fresh Kid Ice「Demon」等のサンプリング・ソースとなっています。
Fresh Kid Ice「Demon」
 https://www.youtube.com/watch?v=9ZGQOb8f9Qk

The Rolling Stonesの過去記事もご査収ください。

『12 X 5』(1965年)


『The Rolling Stones, Now!』(1965年)
ザ・ローリング・ストーンズ・ナウ!

『December's Children (And Everybody's)』(1965年)


『Aftermath』(1966年)


『Between the Buttons』(1967年)


『Beggars Banquet』(1968年)


『Let It Bleed』(1969年)


『Sticky Fingers』(1971年)


『Exile on Main St.』(1972年)


『Black And Blue』(1976年)


『Emotional Rescue』(1980年)
posted by ez at 01:57| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする